林:マスコミの世界って、女の人もけっこう発言権があるんじゃない?

スー:ギャーギャー言ってもたしなめられづらいというのはありますが、その声が反映されてるかどうかはちょっとわかんないですね。以前働いていたレコード会社でも、「女のほうが元気がよくていいよな」って言われて得意になってたんですけど、それってにぎやかしとして有効だったというだけで、上の人間にしてみれば、自分の腹心として育てていくつもりはさらさらなかったんだなと思います。男性の場合、一回失敗しても、30歳ぐらいまでだともう一回チャンスをもらえてる人もいましたけど、女性の場合はそういうことも少なかったように思いますし。

林:ジェーンさん、フェミニスト?

スー:「どっちですか?」って聞かれると、「そりゃ男女ともに同権のほうがいいでしょう。フェミニストですよ」ってなりますね。女性と男性、お互いが背負ってる荷物が、時代に若干合わなくなってると思うんですね。専業主婦ってもう特権階級だし、勤めてるだけで給料が上がるということはないし、女性がたくさん社会に進出するということは、みなしのポストができたとしても、今までだったら出世できた男性が出世できなくなるということだし、この状態で今までと同じものを背負っていると、どっちもがお互いを傷つけることになるんじゃないか。だから「お互い荷物をおろしませんか?」ってなるといいなと思うんですよね。片方だけというのは、ちょっと無理かなと思う。

林:これからどんなことを書かれるか、楽しみですよ。

スー:ちょっと緊張してます。今までは好き勝手に書いてましたけど、これから何を書くつもりなんだ私、という。

林:偉そうに聞こえるかもしれませんが、今まで「第二の林真理子」みたいな人が何人も出てきて、「林真理子の座を脅かす存在」みたいなことを言われてたんだけど、私の中ではそんなふうに思う人は、ぜんぜんいなかったんです。でも、何年か前から、酒井順子さんの活躍なんか見て「すごいな」と思ったし、ジェーン・スーさんが出てきてこんなに華々しく活躍して、脅かされるどころか、時代がまったく変わってるんだなとつくづく思ってるんです。これからも頑張ってくださいね。

スー:はい、頑張ります!

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

※週刊朝日 2019年10月11日号より抜粋