※写真はイメージ(gettyimages)
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もしものときのためのメモ(週刊朝日 2019年10月11日号より)
もしものときのためのメモ(週刊朝日 2019年10月11日号より)

「終活なんて、気が進まない」とばかりに何もしないままこの世を去ると、残された家族はさまざまな手続きや探し物に忙殺され、故人を想い静かに別れの時を過ごすこともままならない。遺族に迷惑をかけないため、何ができるのか。ファイナンシャルプランナーの森田悦子さんが取材した。

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■【葬儀】自分で見積もりを取って家族に伝えておく

「葬儀のバリエーションは広がっていますが、家族の死に直面している遺族に葬儀社を比較検討する余裕はありません。できれば事前に喪主になる家族と一緒に葬儀社に出向き、見積もりを取っておくと遺族に余裕が生まれます」(相続・終活コンサルタントの明石久美さん)

 子ども世代は実家の菩提寺や宗派を覚えていないことも珍しくない。訃報の連絡先とともに書き残しておこう。

 生前にできる準備として、終活に詳しいファイナンシャルプランナーの高橋佳良子さんは「遺影を自分で用意してほしい」と話す。

「子は親がどこにアルバムや写真を保管しているかわからず、探す時間もなくて不本意な写真を使ってしまうことも多い。遺族にとって遺影はずっと手を合わせるものなので、良い写真を見つけてあげられないと後悔が残るんです」

 最近は「家族だけで」とか、「葬儀は不要」と希望する人も多いが、質素な葬儀が必ずしも負担が軽いとは限らないと明石さんは言う。

「『寂しい葬儀でかわいそう』などと心ない言葉を言われて傷ついたり、後日『お焼香したい』という人が次々と訪ねてきて大変な場合もある。残された家族が嫌な思いをしない葬儀をすべき」

■【墓】墓じまいは自ら実行を子の負担が圧倒的に軽い

 将来にわたって管理していく墓は、残された家族にとって負担が重いものだ。先祖代々の菩提寺に墓があっても、子どもが遠方に住んでいる場合は別の選択肢を検討したほうがいいことも。高橋さんは、「墓参りや管理料に加え、清掃などの奉仕や修繕の寄付など檀家の務めが大きな負担になることもある」と指摘する。

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