アイルランド戦の後半、逆転トライを決めた日本の福岡堅樹(C)朝日新聞社
アイルランド戦の後半、逆転トライを決めた日本の福岡堅樹(C)朝日新聞社
アイルランド戦の前半、PGを決めた日本の田村優(C)朝日新聞社
アイルランド戦の前半、PGを決めた日本の田村優(C)朝日新聞社

 ラグビーのワールドカップ(W杯)で、日本(9月23日付世界ランク9位)が史上初の8強入りへ大きく前進した。28日に静岡・エコパスタジアムであった1次リーグA組のアイルランド(同2位)戦で、19−12と逆転勝利。4年前の前回イングランド大会で「スポーツ史上最大の番狂わせ」と言われた南アフリカ戦に続き、優勝候補を撃破した。

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 日本は、アイルランドと通算10回目の対戦で初勝利。後半に逆転トライを決めたウィングの福岡堅樹は、

「この瞬間のために、いろいろと犠牲にしてやってきました。さらに(エコパに来てくれた)この応援の力が後押ししてくれました」

 と興奮冷めやらぬよう。

 4本のペナルティーゴール(PG)を決めるなど右足で14点をたたき出したスタンドオフの田村優は、

「誰も勝つとは思っていなかったと思います。でも、この結果はゲームプランどおりでした」

 と冷静に語った。

 一方、負けたアイルランドの主将、ロリー・ベストは完敗を認めた。
「日本は本当によくプレーした。非常に強く当たってきた。我々もやれることはやった」

 スポーツライターの栗原正夫さんは、日本の勝因をこう分析する。

「勝因は集中力。日本は反則がとにかく少なかったのが大きいです。とくにフォワード陣の頑張りがこの結果をもたらしたとも言えます。きびしく効果的なタックルで相手を自由にさせませんでした」

 日本は20日の初戦で、ロシア(同20位)に30−10と勝利した。試合内容は決して良くなかったが、4トライを奪って自信がついたことも今回の戦いに影響を与えたという。

 日本の次戦は、10月5日のサモア(同16位)戦。そして8強入りを果たすためには、13日に対戦する1次リーグ最後の相手、スコットランド(同8位)戦がカギとなる。

 では、どう戦えばいいのか。栗原さんは言う。

「アイルランド戦のように集中力を高め、反則をしないことです。フォワードが相手の攻撃の芽をつぶしていくことで、松島(幸太朗)や福岡らバックス陣にトライのチャンスが生まれます。今回のように勝機はもちろんあります」

 ラグビーは番狂わせが起こりにくいスポーツと言われている。奇跡は2度も起こるのだろうか。二度あることは三度あると信じたい。(本誌・鮎川哲也)

※週刊朝日オンライン限定記事