罪悪感でコントロールされないために大切なことは、まず「自覚」することだ。責めてくる相手は、こちらにわざと悪いと思わせようとしている人であること、罪悪感を刺激しようと狙っていることに気を付けなければならない。そして相手の意見に流されないためには、なにを言われても心の中に「よそはよそ、うちはうち」の精神を持つことが大切だ。

「他社はやってくれた!」→「『当社』では有料となっております」

「当然のサービスだ!」→「『当社』ではご用意がございません! お客様からそのようなお声を頂いたことは、真摯に受け止めます」

 そう、何を言われても心の中に「よそはよそ、うちはうち」という呪文があれば、罪悪感をガードしつつ相手の要求をはねのけることができるのだ。

 ハラスメントを行ってくる加害者の多くは「お前が悪いんだ」と言ってくる。

「お前が悪い、だからどんな目にあったってしかたないんだ!」
と責められて、パワハラ、セクハラ、モラハラ等の被害に遭う。

 ハラスメントがどんなに辛くても、「お前が悪いんだ」と責められ罪悪感を刺激されているので「私が悪い、だから辛い目に遭っても仕方ないんだ」と相手の仕打ちを受け入れてしまう。相手を理不尽に責め立てて罪悪感を刺激するこの手法は、その人の優しさ、弱さに付け込んだ、本当に卑劣な手段だと思う。

 だからコールセンターでもそれ以外でも、世の中には根拠のないことで罪悪感を刺激しコントロールしようとしてくる相手というのがいるということを知ってほしい。

 そして運悪くそういう相手に出会ってしまった時は、「うちはうち、よそはよそ」と呪文を唱えよう。「お前が悪い!」と怒鳴られた時は「本当にそうかな!?」とカウンターで打ち消そう。とりあえず反射的に罪悪感を抱く必要はない、本当に悪い事だったら冷静に考えた後で謝ればいいのだ。

(榎本まみ)

※週刊朝日オンライン限定記事

著者プロフィールを見る
榎本まみ

榎本まみ

榎本まみ(えのもと・まみ)/新卒で督促を行うコールセンターに入社するも心を病んで辞めていく同僚を見て一念発起。クレームや罵詈雑言からオペレータの心を守る独自メソッドを開発。現在もコールセンターで働きながらコラムや漫画を執筆している

榎本まみの記事一覧はこちら