一つはツイッターとブログを連動させたことだ。<自分が何をしたくて、これまでどんなことをしてきたのか、その経緯をわかりやすく提示する必要があると思った>と本にはつづられている。ツイッターで興味をもった人がブログに飛べば、ストーリーが浮かび上がる仕掛けだ。

「使ったツールもよかったと思います。ツイッターもブログも『文字』での表現。僕は元々しゃべるより書くことのほうが得意で、文章を書くのは苦になりません。『文章がうまいのがウケた原因では』とよく言われます」(池田さん)

 そして、えらてんさんに認識してもらえたのは、決して偶然ではなかった。周到に準備した結果だった。池田さんがえらてんさんをフォローし続けたことを思い出してほしい。

「半年ぐらいずっと見ていたので、どんな人が好き・嫌いで、どんなふうに物事を考えるのかがわかるようになっていました。よくエゴサーチ(自分で自分のことを検索)することもわかっていたので、えらてんさんが必ず反応するようなツイートをしたんです。結果は思った通りでした」(同)

 もちろん100万円は偶然以外の何物でもない。

「ひょっとしたらと思いましたが、それよりえらてんさんに知ってもらえたことが安心につながりました。いろいろ教えてもらえると思っていましたから」(同)

 こうした狙いについて、30年以上、起業の世界を見てきた起業アドバイザーの松延健児さんは、「運を呼び込む法則にかなっている」と言う。

「ビジネスに対する姿勢が謙虚なのがいい。人を巻き込むには『感動・共感・行動』がキーワードですが、『しょぼい』というテーマそのものがぴったり当てはまっています。えらてんさんはじめ、必死で頑張っている人を見ていると応援したくなるんでしょうね」

 松延さんはフェイスブックなどSNSにも詳しい。

「その面では毎日コツコツ進める地道な姿勢がいいですね。ブログなどを毎日更新する人なんてほとんどいません。発信すればフォロワーとの接触が増え、信頼関係ができていきます。短期に店を開いてしまう様子は、物々交換で次々にいいものを手に入れていく『わらしべ長者』を見ているようです」

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