「投手としては粗削り。制球が良いとは言えないし、直球も球速は速くても体感速度はそうでもない。変化球の精度も磨く必要がある。潜在能力は高いが、現時点ではメジャーの一流のレベルに到達していない」

 6月には大リーグ公式サイトが、「大谷は投手を断念して野手に専念することを勧める」という内容の特集を掲載したほどだった。

 だが、エンゼルスの考えは違う。同サイトで、ブラッド・オースマス監督は「私はむしろ彼には二刀流でいてほしい。6日ごとぐらいのペースで投手として起用したい」とコメントした。

 2017年オフに大谷が日本ハムからポスティングシステムを利用してメジャー挑戦した際、エンゼルスは編成スタッフが長時間をかけて考えた育成プランを提示。二刀流の継続についても全面的なバックアップを約束している。

 9月からブルペンでの投球、10月から打者相手に投球練習を再開する青写真を描く。当然、大谷も来年は二刀流として結果を残したい思いが強いだろう。

 ただ、投手は打者より肩、ひじなど故障のリスクが高い。後半戦も打てば打つほど、野手に専念を望む声が多くなる。こんな選手は他にいないだろう。(伊東亮太)

週刊朝日  2019年7月26日号