「本件の全容解明を期待しています。(省略)依然として同様の大規模な侵害サイトを含めて、少なくとも100~200以上の違法な海賊版サイトが存在するとも伝えられています」

 出版界として解決策を講じる方針だ。

 著作権に詳しい福井健策弁護士に損害賠償請求はどのくらいになるかを聞いた。

「著作権法上、許可を得ずに無断で配信すると、出版社の売り上げ変動に関係なく、少なくとも許可を得て使用していた場合に払われる使用料の金額は請求できます」

 もし、1アクセスに10円ずつ著者に払う仕組みがあったとするだけでも、1カ月16億円。活動期間などを鑑みれば、数十億円かそれ以上になる可能性がある。

 ある関係者は憤る。

「著作権を侵害しただけではない。漫画は買わない、無料で読めるのが当然だという習慣を植え付けたことも大きな問題だ」

 福井弁護士も言う。

「作家の生計が成り立たなくなっても、作品は生まれ続けるでしょうか。全力で対処しなければなりません」

(本誌・岩下明日香/今西憲之)

週刊朝日  2019年7月26日号

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今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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