1番打者として3割5分近い高打率で打線を引っ張っていた新人の近本光司が、6月は月間打率1割7分9厘と苦しんだ。相手チームに研究されているのに加えて、プロで初めて試合に出続けて疲労もたまっているだろう。

 5日現在、新外国人のマルテも打率2割6分5厘、7本塁打と助っ人としては物足りない数字だ。2桁本塁打を打っているのは10本塁打の4番・大山悠輔のみ。左の巧打者は多いが、一発が打てる長距離砲が少ないため、チーム総得点はリーグ5位の300点と打線に怖さがない。

 一方で、先発投手は「飽和状態」だ。現在は西勇輝、メッセンジャー、青柳晃洋、岩田稔、ガルシア、高橋遥人の6人でローテーションを回している。2017年に12勝をマークした秋山拓巳がファームに待機し、右脇腹の肉離れで戦線離脱していた岩貞祐太もシーズン後半の1軍昇格を目指している。かつてのエースだった藤浪は1軍の戦力として不可欠な投手という位置づけではなくなっている。

 いまだ1軍登板なしの今季は右打者への投球がすっぽ抜ける「死球病」で投球フォームを崩していたが、6月29日のウエスタン・リーグの広島戦(マツダスタジアム)で最速154キロを計測。今季最長の8回を投げて4安打1失点と好投した。復活劇は阪神のユニホームでかなえるか、それとも──。(梅宮正宗)

週刊朝日  2019年7月19日号