「アインシュタインにもこの写真を見せたかった」。今年4月、世界中が注目した「ブラックホール撮影成功」のニュース。各国精鋭の天文学者で構成される国際研究チームの日本代表者、本間希樹さんは会見でこう語りました。宇宙の不思議や研究の裏側など作家の林真理子さんが迫ります。
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林:地球って、広大な宇宙の中の、奇跡のようなたった一つの星と考えていいんですか。
本間:ただ、今の最先端の研究だと、天の川の中には太陽みたいな星が2千億個ぐらいあると言われていて、その周りにはだいたい惑星が回っているので、その確率は小さいですけど、地球と同じような惑星があるんですね。そこには海があって生命が誕生しているという可能性は、僕はすごく高いと思ってるんです。
林:おー、そうですか。
本間:よく「宇宙人いますか?」って聞かれるんですけど、必ず「いますよ」って言うんです。もちろん見たことはないですし、いきなりUFOが飛んできて宇宙人と会うとは思わないですけど、大きい電波望遠鏡の数をたくさん増やしていくと、近くの星に地球みたいな文明があって、そこでやってるテレビを地球でも見られるという時代が、あと何十年かするとくるという試算があるんです。
林:ほォ~。このあいだテレビで見たんですけど、「宇宙人に何かを聞かれても答えないでください」という注意書きが各国に出ているっていうんです。誰かが代表して答えることになっているので、うかつに返事しちゃいけないって。
本間:万が一そういうことがあったら、しかるべきところに連絡するようにということで、日本は国立天文台に連絡することになってるんです。
林:えっ、先生のところに?
本間:僕個人じゃないですけど、僕がいる国立天文台に。ま、今すぐコンタクトがあるわけじゃないんで、大丈夫ですけどね。
林:でも、「勝手に返事しないでください」という注意が世界的にされてるって、なんか楽しいですね。
本間:その可能性が真剣に考えられているというのは、おもしろいですよね。隣の星でそういう文明がなかったら次の星、その次の星……ってやっていくと、地球と同じぐらいの文明がある星から漏れている電波をとらえられる日がいつか来るんじゃないか。それが100年以内に起きてもおかしくないと思いますね。