先にも触れたが、16年の参院選、東北で唯一、自民党が議席をとった秋田では、今回も自民党の現職、中泉松司氏が優勢と見られていたが、形勢が変わりつつある。

「イージス・アショア」に関する一連の問題発覚について、自民党関係者はため息交じりに語る。

「イージス・アショアは、配備の是非を述べる以前の問題で頭が痛い。そこに『2千万円問題』。国民年金だけに加入している農家も多く、不安が高まっている」

 これで勢いづいたのは、対抗馬の寺田静氏の陣営だ。関係者の一人は「言われるがままミサイル配備に動いていた県と国との関係に疑問を持っていた人は多い。年金問題も尾を引いている。争点になれば十分に勝てる見込みがある」と意気込む。

 新潟は、自民の塚田一郎氏が守勢に回る。国の道路整備事業を巡って安倍首相と麻生氏の意向を「忖度した」と発言し、国交副大臣を辞任した。

「支持者におわびして回っているが、逆効果です。あの発言によって、自民は県議選でも議席を減らし、塚田氏は県連会長まで辞めざるを得なくなった。そのダメージは非常に大きい」(小林氏)

 野上、角谷の両氏も野党統一候補の打越さく良氏が優勢と見る。

 山梨は今年1月の知事選で、自公が推薦した長崎幸太郎氏が当選し、自民が足場を築きつつある。

「自民の内紛が伝統的に多い県ですが、知事選でようやくまとまった」(小林氏)

 だが、00年代に入って過去6回の参院選で、自民は2勝4敗と負け癖がついている選挙区でもある。野上氏と角谷氏が野党の市来伴子氏、小林氏が自民の森屋宏氏と予想が割れた。

 三重は元民主党代表の岡田克也氏の地元。今回、自民が「激戦区」に加えた滋賀は、前知事の嘉田由紀子氏の人気が高く、いずれも野党候補が優位に選挙戦を進めている。

 加計学園の獣医学部新設問題に揺れた愛媛は、野党の永江孝子氏がリードする。

 大分も3氏とも野党候補が有利と予想。安保法制国会のときに安倍首相の補佐官を務めた自民現職・礒崎陽輔氏は、07年と13年の参院選では野党が乱立したことで票が割れ、漁夫の利を得て当選したが、今回は野党候補は安達澄氏に一本化された。

「16年参院選では、自民はガチンコ対決で民進党(当時)にわずか1千票余りの差で敗れている。今回も統一候補のうえ、年金と増税の逆風も吹く。自民連敗があり得ます」(野上氏)

次のページ