「確か、親を亡くしたばかりの同級生の前で父親が役人でえらいとか、言い出したことがあった。社交性がない、空気が読めないというのかな。クラスでいろいろ雑談していても、英一郎さんがくると、みんな散らばってしまうって感じだった。大学に進学したものの、中退したと聞いた。卒業後はまったく知らない。ただ、今回の事件で思い出すのは、英一郎さんは確かにゲームには詳しかった。その頃はファミコンの時代で、すごく上手でハマっていた。あと人気キャラのイラストもうまかった。母親に大事にしていたプラモデルを、勉強しないからと壊されて家で大暴れしたという話はけっこう知られていた。その頃から、学校のイジメのうっぷんを家庭内暴力で晴らしていたのかもしれません」

 英一郎さんが開設していたホームページにはオンラインゲームのキャラクターが多数、描かれていた。ネット上でも「うまい」と評価する声もあった。英一郎さんはツイッターで過去のいじめをこう綴っていた。

<小学生から高校生までイジメられて育った。壮絶な人生だから味方には優しいが敵は徹底的に痛めつけるんだ>

 実家に戻ってから始まった家庭内暴力。沢容疑者や母親に殴られたような、アザがあったことが確認されている。ツイッターでも、英一郎さんは母親に対しては辛辣な書き込みばかりが目立ち、<愚母を殺したい>とまでツイートしている。

 英一郎さんが毎日、ほとんどの時間を費やしていたオンラインゲームドラクエ10。つながっていた仲間とは、ゲーム上で会話することもあったという。ゲーム仲間の一人は、こう話す。

「ゲームの中で注目してほしいのか事務次官の息子だとさかんにアピールしていた。お金もあったようでオンラインゲームの課金されるキャラクターなどもバンバン買っているようでした。逆に仲良くなると、課金されるのにキャラクターをプレゼントすることもあった。ただ、複数でチャットや会話していると、すぐに自分の世界に入り、好き勝手に話している印象ですね。人の話はまったく聞かない。日々、ゲームが基本になって生活しているような人。現実とゲームの区別がついていないような気がした」

 社会から逃避してゲームの世界に入り浸って現実離れしていたとみられる英一郎さん。だが、最後となった6月1日12時20分のツイートにはこうある。

<誰も一人では生きられない> 

 5月末に英一郎さんは実家の両親の元に戻ったが、ツイートの3時間後、悲劇が起こってしまった。(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事