朝の出勤時、無気力にエレベーターで語り合う放射線技師たちのギュッと詰まった絵。そこから放射線科の机に、それぞれが座るシンメトリーな構図。

 やる気の無いプロ集団に飛び込んでくる異分子(主人公)が、やがて周囲に変化をもたらす群像劇。八嶋智人による視聴者に語りかけるようなナレーション。

「誰かが言っていた。写真には二つの力がある」

 これは、なんたって「王様のレストラン」(水曜劇場枠だけど、鈴木雅之演出)の森本レオのナレーション「誰かが言った。最も優秀なシェフは恋をしているシェフと」を思い出す。

 平成のフジテレビドラマは元気だった。昭和から平成に変わる頃、月9はラブストーリーの代名詞になった。おしゃれな男女が、やたらおしゃれな部屋に住み、恋をする物語を、みんなワクワク見ていた時代。

 やがて月9からも恋愛要素は薄れ、他のドラマ枠と変わらぬ推理ものや医療ものが続く。新時代が来たら、いつかドラマ枠ですらなくなるかもしれないけれど、「それはまた別の話」。

週刊朝日  2019年4月26日号

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも