室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
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 作家の室井佑月氏は、新元号発表による「お祭り騒ぎ」に苦言を呈する。

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 ここんとこ、テレビで一番長く時間を割いて報道しているのは、新元号「令和」について(4月6日現在)。決まる前から大騒ぎしていたもんな。そのことにどんな意味があるの?

 元号が新しくなったからといって、違う明日はやってこない。我々の毎日は変わらない。生活苦にあえぐ人々もそのままだ。血税をジャブジャブ使っている腐敗政治の膿が、洗い流されるわけでもない。

 ここまでお祭り騒ぎをするってどうよ? そんな風にいえば、国民はみな天皇陛下が好きだから、という答えが返ってくる。

 その答えは、半分正解で半分間違いだとあたしは思う。たしかに、国民は陛下が好きだ。しかし、それが馬鹿騒ぎの理由にはならない。

 ならば、テレビは陛下のお話の数々にもっとスポットを当てるべき。

 陛下は、護憲派で、平和を愛し、国から虐げられている沖縄のことも心配されている。どうしてそっちは広めないの?

 安倍さんを熱烈に応援している人々に、「売国奴」「日本人じゃない」といわれるあたしだけど、あたしは日本人だし(個人的にどうでもいいが)この国も天皇陛下のことも好きだ。陛下が皇族だから好きなわけじゃない。陛下のお話しされる内容から窺(うかが)える、お人柄を尊敬している。

 やたらと日の丸を振り回したがる「安倍信者」は、陛下のお話をちゃんと聞いているんだろうか、と不思議になる。

 それからテレビでよく流れるのは、日産前会長のカルロス・ゴーン容疑者のこと。

 ゴーン容疑者が再逮捕されたことで、またお祭り状態になっている。正直、この国の検察の動きに、おかしいと思うところはある。公平なのかと。だけど、テレビでやっているのは、そういうことではない。

 カリスマ経営者だったゴーン容疑者の転落劇を、おもしろおかしく報じているだけ。てか、彼をカリスマと持ち上げたのもマスコミじゃん。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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