古賀茂明「塚田国交副大臣の“忖度”更迭でわかった昭和の利権政治の復活」

連載「政官財の罪と罰」

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辞任した塚田一郎国土交通副大臣(C)朝日新聞社
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辞任した塚田一郎国土交通副大臣(C)朝...

 塚田一郎国土交通副大臣が4月5日、辞任した。本州と九州を新たに結ぶ「下関北九州道路」(下北道路)の事業化調査をめぐる「忖度」発言の責任をとったものだ。

【写真】辞任した塚田一郎国土交通副大臣

 道路行政を所管する国交副大臣が、安倍晋三総理と麻生太郎副総理の地元事業だから「国直轄の調査に引き上げた。私が忖度した」と発言してしまった。それだけでも大問題だが、福岡県知事選の自民党推薦候補の集会で語ったというから、明らかな利益誘導であり、二重の意味で責任を追及されることになった。塚田氏は翌日発言を撤回し、謝罪したが、その理由が、忖度で調査事業を国直轄にしたというのが「事実ではなかった」ということだった。

 もちろん、国会では、「忖度はなかった」という同氏の言い訳は「信じられない!」と言われる。国民も同じ気持ちだろう。

 一方、仮に、本当に忖度などなく、通常の手続きで国直轄の調査に引き上げられたのであれば、逆に、塚田氏は虚偽の事実を告げて票を獲得しようとしたことになり、こちらもまた、大問題である。つまり、どう転んでも、辞任に値する大チョンボだ。

 当初は擁護姿勢を見せていた安倍総理だが、統一地方選のさなかということもあり、結局は、本人が自発的に辞任するという形で、早期の事態収拾に動かざるを得なかった。

 この辞任劇を受けて、一旦は憤りで盛り上がった世論や野党も留飲を下げるかもしれない。

しかし、これで一件落着にしていいのだろうか。

 下北道路は、関門海峡を挟む安倍総理の選挙区の山口県下関市と、中選挙区時代に麻生氏の地盤だった北九州市を結ぶ道路建設プロジェクトだが、2008年に自民党福田康夫内閣によって計画凍結とされていた。しかし、安倍政権になると、安倍氏と麻生氏の地元事業だということで、にわかに復活の動きが高まり、ついに17年度から、国民が気づかぬうちに、プロジェクト推進に向けた調査が再開され、復活への本格的な動きが始まった。17、18年度はその費用のうち国による3分の1補助が行われたが、今年3月には、統一地方選向けの露骨な利益誘導策として、19年度から国の直轄事業、すなわち100%国の税金で行う事業に格上げされた。

 しかし、08年に自民党政権自らが凍結した事業をどうして再開したのかについては、全く国民に説明されていない。闇の中で、決められたと言ってもいいだろう。

 本来であれば、これについて、掘り下げた追及が行われなければならないのだが、野党の国会での追及はこの部分には及んでいない。おそらく、野党側も、下北道路プロジェクト自体を否定するような論陣を張ると、統一地方選で地元の評判が悪くなり、票が逃げると考えているのではないだろうか。

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