え? そうでもない? いやいや、西武池袋駅の構内は今、ムーミンバレーパークのポスターで壁の地が見えないくらい。ムーミン・フローレン・スニフ・スナフキン・ミイ、お馴染みのキャラクターの一枚写真のポスターがドーン。こんなかわいい仲間が待ってるなら絶対飯能に行きたい! たとえ池袋から50分かかろうとも!!

 ポスターをジーッと見つめていると、あれ? スナフキンとミイが……人間……。いや、いーんですけどね。キャラクターの着ぐるみでなく、人間かぁ……。他のキャラクターとのスケールがほぼ一緒で、『リトルミイ(ちびのミイ)』なはずなのに、ほりの深い森公美子みたいなポッチャリオバさん。スナフキンも思いの外、デカくてコスプレ感が滲み出て……。スニフのゴモラ感もなかなか……。

 女子高生が「なにこれ、こわっ!(笑)」と言いながら通りすぎていくのを見ると一抹の不安はありますが、きっと彼らが埼玉を、飯能を、西武線を救ってくれることでしょう。飯能、夏は暑いけどスナフキンとミイ以外のお友達はくれぐれも脱水症状に気をつけてっ!!

 頑張れ、ムーミンバレーパーク! ……でもなぜに飯能に!?

週刊朝日  2019年4月12日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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