「外国語習得を重視するのは早稲田文学部の伝統。外国や過去の文化や思考法について考え、視野を広げることにつながる。古典を原著で学びたい学生のために、原語で読む授業も用意しています」

 学びの集大成は必修の卒業論文だ。3年次からゼミに所属し、「ゼミ論」を仕上げる。少数だが個性が強く、自由に研究したい人がいるため、ゼミに所属せず卒論を提出できる仕組みもある。最低2万字を書くが、10万字を超える研究者顔負けの論文が提出されることもある。

「卒業するときに論文を書くことで、問題や関心を明確にできている。ゼミに所属することで学生の思考が抑制されることを懸念したが、自由にテーマを設定し、自主的な学習につながっている」

 就職実績も良い。メーカーや金融、マスコミ、情報通信などの幅広い業界の大手企業に多数の人材を送り込んでいる。科目登録や進路選択などで、興味や考えを整理する機会が多く、それが就職試験の自己アピールにもうまくつながっているようだ。

 興味や関心から学びを深め、自己実現していく。社会で求められるのはこうした人材だ。(本誌・緒方麦、吉崎洋夫)

週刊朝日  2019年4月12日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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