林:勸玄君もお姉ちゃんの麗禾ちゃん(長女)も、天性の美貌というか、すごく可愛らしいお顔立ちで、勸玄君なんかそのうちすごい人気歌舞伎俳優になるだろうなと思いますよ。

市川:なってもらわないと困るんでね。モテるでしょうし、好き放題できる時代が来てしまいますよね。それを今から約束されている人間だから、どうそれを乗り越えていくかということを親として考えないといけないですね。僕も15歳くらいまではあまり知られていなかったから、好き勝手やってもあまり言われなかったけれど、今はすぐ週刊誌に出るじゃないですか。その環境の中でどう生きていくかということは、ちょっと考えなくてはいけないですね。

林:そういうことまで考えてらっしゃるんですね。海老蔵さんのブログで見る限り、勸玄君は非常にナイーブでやさしい感じの少年ですよね。

市川:そんなことないですよ。はっきりしてますし、譲らないところは絶対譲らなくて、芯が強いですね。ああいう顔なんでナイーブに見えるんでしょう。あの顔でどれだけ得をするんだろうな、と思うぐらい得な顔をしてますよね(笑)。

林:麗禾ちゃんと勸玄君に対しては、「男女平等にやってあげたい」とおっしゃってましたね。

市川:麗禾がやりたいと言うなら、襲名とかも考えないといけないでしょうね。歌舞伎というのは男性の世界ですから、歌舞伎の本興行の中で彼女がすることはできないかもしれない。でも、六本木歌舞伎に寺島しのぶさんが出てくださったように、麗禾が参加することは可能ですし、女優業をしたいのであれば、ほかの畑に冒険をしに行くこともできる。親として、そういう環境づくりはしないといけないと思っています。

林:以前、お母さま(堀越希実子さん)にこのページに出ていただきました。私が「海老蔵さんが、あんなに子煩悩になられるとはびっくりです」と申し上げたら、お母さまも「私もちょっと驚いてます」とおっしゃってました。お子さんが朝起きてから寝るまでお世話をしていて、すごいなと思いますよ。「パパが地方巡業に行くとき、麗禾はダッコちゃんのように抱きついて泣くのよ」とお母さまがおっしゃってました。

市川:そうなんです。悲しいですよね、お母さんがいないですから。2~3日でも子どもにとっては長いですけど、1週間となると悲しいんじゃないですか。

林:じゃあ3人で共演した今年1月の新橋演舞場(「初春歌舞伎公演」)は、楽屋もお父さんと一緒で、とても楽しかったでしょうね。

市川:そうですね。おのおのの家の考え方がありますけど、私はぜんぜん子どもと一緒でかまわないので。

(構成/本誌・松岡かすみ)

※週刊朝日2019年3月8日号より抜粋