酸素を十分に取り込めず、体内で不要になった二酸化炭素を吐き出す「ガス交換」をうまくできない。酸素と二酸化炭素のバランスが崩れて二酸化炭素過多になってしまう。体が酸性に傾き、頭痛や眠気、疲労などを訴える人が現れる。二酸化炭素は少なすぎてもめまいなどが起きやすく、呼吸でバランスを保つことが大切だ。

呼吸を支える肺の機能は、25歳をピークに衰え始める。ただ、息苦しさや呼吸のしにくさなどの症状は60歳を過ぎてから訴える人が多くなる。

「肺の機能は、高齢になってガクンと落ちるわけではありません。自覚症状が少ないまま、じわじわと進行するのが普通です」

『すべての不調は呼吸が原因』(幻冬舎新書)の著者で、東京有明医療大学の本間生夫学長(呼吸神経生理学)は、そう説明する。

 機能低下の主な要因は、呼吸筋の衰えだという。肺は自力で膨らんだり縮んだりしない。肺の周りの肋間(ろっかん)筋など20にも及ぶ呼吸筋が絶えず動くことで、肺を膨らませたり縮ませたりしている。加齢に伴ってこの機能が落ちるとともに、肺自体の弾力も失われ、空気を交換する力が弱まる。(及川知晃)

週刊朝日  2019年3月1日号より抜粋