「法哲学や宗教も学び、将来は国連職員になり、人権侵害で苦しんでいる人を助けたい」

 京大理学部に合格した折笠俊一郎さん(聖光学院)は、中学1年の数学の証明問題で、その論理性に魅了された。中学2年時に、先生から紹介された大学の代数の入門書で、抱えていた疑問が解明でき、感激したという。

 中学2年から数学研究会に入り、中学3年で日本数学オリンピックの本選に出場。高校1、2年の夏には、数学オリンピックの成績優秀者らとともに、数学オリンピック財団の夏季セミナーに参加した。

 高校2年冬には、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の学校が参加する発表会で、「有限体上の2次一般線型群の元の位数の分類」を発表。

 当時、東大と京大で進路に迷っていたが、「京大は1年から上の学年の講義の聴講が可能」であることに魅力を感じ、京大の特色入試と一般入試の受験を決意。高校3年の夏から過去問を解き始め、特色入試の提出書類の準備を始めた。折笠さんは数学の研究者を目指す。

「研究だけではなく、本を書いたり、講演をしたりして、数学のおもしろさを広く伝えたいです」

 京大経済学部に合格した岡田虎太朗さん(洛南)には、「経済の力でクラシック音楽を発展させたい」というユニークな夢がある。

 岡田さんがピアノを始めたのは6歳。毎日練習を続け、小学4年から高校2年まで数々の賞を受賞。ピティナ・ピアノコンペティションでは全国決勝大会で銀賞、ベスト賞を受賞した。

「音大を勧める人もいて、ピアニストとしての野望もありましたが、手が小さいこともあり、断念しました。勉強も頑張ってきたので、ピアノや部活動、学級委員長や学校行事の実行委員の活動も評価してくれる京大特色入試を受験しようと思いました」

 中高時代は鉄道研究部に所属し、中学3年になる前の春休みには、梅小路蒸気機関車館(現・京都鉄道博物館)のプロジェクトに参加。高校からは吹奏楽部も兼部し、ピアノを演奏した。「連携プロジェクトや吹奏楽部の定期演奏会で、客のニーズや企画・運営などについて考えるようになりました。将来はクラシックのコンサート会場を満席にしたいですね」

 マーケティングや経営を学び、音楽団体の経済的自立、音楽人口の増加につながる新たなアイデアや職業を思い描いている。(庄村敦子)

週刊朝日  2019年3月1日号