「永遠の2番手」を返上して四大陸選手権Vの宇野昌磨。3月の世界選手権にも期待がかかる(c)朝日新聞社
「永遠の2番手」を返上して四大陸選手権Vの宇野昌磨。3月の世界選手権にも期待がかかる(c)朝日新聞社

 フィギュアスケート五輪銀メダリストの宇野昌磨が、ついに「シルバーコレクター」の汚名を返上した。2月7日~10日に開催された「四大陸選手権」で、フリーでルール改正後の世界最高点197.36点をたたき出し、ショートプログラム(SP)4位から逆転優勝した。

 右足首の捻挫の影響で万全ではない状態にもかかわらず、3本の4回転ジャンプを決めた宇野。フリーの最後には、感極まったのか、崩れ落ちるように、氷上に膝をついた。いい意味でこれまでの宇野らしからぬ様子に驚いたファンも多いが、長年宇野の取材をしてきたノンフィクションライターの田村明子さんは語る。

「この1年で、見違えるように精神的に成長しました。今回の大会では、けがのため、ほぼぶっつけ本番で試合会場に入りましたが、足の状態が悪くとも集中力で滑り切った。『今やらなくていつやるんだ』という気迫を感じました」

 変化はそれだけではない。記者会見では、「できない自分を抑えるために自分を信じるのではなく『自分はできるんだ』と、ただそれだけを思っていた」と、集まった記者たちが感心するほど、一流アスリートらしい、大人びた発言をした。

 そもそも宇野と言えば、平昌五輪の感想を聞かれて「特別な思いは感じなかった。1つの試合」「(選手村では)ゲームができているので満足」「(銀メダルに)さわりたい人はさわってくださいという感じ」と答えるなど、「天然発言」を連発していた。

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