――同時に女性の本当の強さとは何かを問いかけていますね。
「この映画の3人の女性は、一貫して強いだけではない。弱さを持っているし、時には怯えているし、セクシーでおかしくあったりもする。それが人間だと思うから。人間らしい女性像を描いた脚本というのは本当に少ない。だからこの脚本は本当に貴重なのよ」
――あなたのオーディションで、出産シーンを演じるなど、奇妙な事をしなければならなかったそうですね。
「私のアクセントを試すためよ。私は唯一のアメリカ人キャストだから。アクセント・コーチがオーディションしたときに、わたしのイギリス・アクセントがどこまでしっかり言えるか試すために、いろんな状況の台詞を試してきたの。即興みたいな感じ。スピードをかえたり、言語障害をいれたり」
――撮影現場での雰囲気はいかがでしたか?
「3週間リハーサルしたのだけれど、すごく楽しかった。キャスト全員で長い時間を過ごして、クレイジーな演技をいろいろやった。難しいシーンもあったし、それはまるで劇団に入ったような感じだった。役を入れ替えて、相手の役を演じたりもしたのよ!」
――監督は物語についてはあまり説明しないそうですが、初めてランシモス監督と仕事をした感想は?
「詳細について説明しないという点はとても好きよ。私は他のキャラクターについて詳しい事は知らないし、他の人がどんな演技をするかについてもあまり考察しない。逆にシーンで他の人が何をするか知らない方がいいと思う。例えば監督がキャストに“もっと悲しく演じて”か言ったら、その場にいた他の人全員が、彼女は悲しそうな演技をしようとしているのか、とわかる。それって恥ずかしいわ(大笑い)。だからキャスト全員が自由にやりながらも、監督が全体の舵こぎをする、というのは良い方法だと思う」
――あなたにとって本作は初の時代劇ですね。難しかった点は?
「コルセットをつけた事かしら。時代劇は初めてだったし、コルセットをつけたのも初めてだった。つけると呼吸が難しくなって、体力を消耗した。あの時代、女性は皆つけていた訳を考えると恐ろしい。閉じ込められているという気持ちを常に感じたわ。縛られて、まっすぐに立たないといけなかった。締め付けられたら気絶するほど。見た目は美しいのだけれど……。コルセットをつけるだけで、当時の女性の感情を想像できたわ」