脳科学を受験勉強に取り入れた著書が多数ある医学博士の福井一成さんも、楽しい気持ちで勉強することの重要さを強調する。

「楽しいと、記憶力をアップさせるβエンドルフィンというホルモンが脳内で分泌されます。嫌々勉強すると、記憶力をダウンさせるノルアドレナリンが分泌されます。『楽しい』と思い込んで勉強することです。『これが終わったらスイーツを食べる』など、自分へのご褒美を決めて勉強するのもいいでしょう」

 福井さんは音読こそ効率的な暗記法だと説く。

「音読は目、口、耳を使います。目のみ使う黙読では脳の一部しか働きませんが、音読では脳の多くの部分が働くことがわかっています」

 部屋を歩きながら暗記するのもいいという。

「歩くと筋肉が収縮してポンプの役割を果たすので、脳への血流量が増えます。歩く刺激が背骨の中の神経を通り、脳幹網様体を刺激するため、眠気がなくなります」

 受験生がいる家庭は、どのようなことに気をつければいいだろうか。佐藤さんがアドバイスする。

「親の仕事は健康管理です。規則正しい生活リズムにするために、毎日決まった時間に食事をとれるようにしてください。鍋料理は体が温まり、栄養もとれるので、この時期によく作りますが、鍋だと食事に時間がかかるため、受験生向けに1人用の鍋に移して、過去問を解く部屋で食べてもらいました」

 インフルエンザ対策も気になるところ。

「主人は帰宅したら、まず洋服を着替え、手洗い、うがいをして、受験生と接していましたね」

 試験会場が遠方であれば、親の同宿を勧める。

「勉強だけに集中できるよう、最後までサポートしましょう。過保護だと言う人もいますが、気にせずに、当日は大学の門まで堂々と同伴してください」

 試験会場では落ち着くことも大切だが、和田さんは「『絶対に受かる』と自己暗示をかけましょう。試験会場に到着したら、自分よりもアホそうな人を探して、精神的に優位に立つことも大切です」とユニークなアドバイスを送る。

 緊張すると脳の血流が悪くなるが、和む写真やマスコットを休憩時間に眺めると、改善するという。

 2次試験まで1カ月を切った。私大入試もまもなく始まる。計画を立て、ラストスパート!(庄村敦子)

週刊朝日  2019年2月8日号より抜粋