デジタル遺品に関するシンポジウム (c)朝日新聞社
デジタル遺品に関するシンポジウム (c)朝日新聞社
葬儀にかかる費用の平均額 (週刊朝日 2019年2月1日号より)
葬儀にかかる費用の平均額 (週刊朝日 2019年2月1日号より)
デジタル遺品の例 (週刊朝日 2019年2月1日号より)
デジタル遺品の例 (週刊朝日 2019年2月1日号より)
生前にできる、死後の手続き10の備え (週刊朝日 2019年2月1日号より)
生前にできる、死後の手続き10の備え (週刊朝日 2019年2月1日号より)

 葬儀はどの会社に頼むか、故人をどこに運ぶべきか、よい遺影写真がない、だれを葬儀に呼ぼうか……。

【葬儀にかかる費用の平均額や生前にできる備えのデータはこちら】

 近親者の死を経験した人の多くが直面する問題だ。約8割の人は病院など医療機関で亡くなり、死後は速やかに退去を求められる。じっくりと考える余裕がない。

 では、慣れない葬儀をスムーズに執り行うため、どんな準備がいるだろうか。

 千葉県松戸市にある「明石シニアコンサルティング」代表で相続・終活コンサルタントの明石久美さんは「万一に備えて、葬儀社を事前にある程度選んでおくべきです」とアドバイスする。

 葬儀社選びのポイントは、会館を持つ会社と持たない会社など、違うタイプを2社ほど実際に訪れて話を聞くことという。「電話での受け答えがよくても、対面すると、あれ?と思うことがあります。説明を聞きながら色々と質問し、五感を使って選ぶことが大切です」(明石さん)

 見積もりを出してもらえば、およその費用を比較できる。個人情報を伝えることに抵抗があれば、それを伏せて相談もできる。

 本人ひとりで相談に行くのでは不十分。残された家族が葬儀の流れをわからないと意味がない。配偶者や子が一緒に行き、あれこれと質問するのが望ましい。

 このほか、訃報の連絡先や遺影写真の準備、菩提寺とその連絡先、宗派をわかるようにしておきたい。

 葬儀代をどう準備しておくか。葬儀ポータルサイト「いい葬儀」を運営する鎌倉新書の「第3回お葬式に関する全国調査」によると、費用(飲食代や返礼品を含む、お布施は除く)は近年減る傾向で、平均約178万円。会葬者の香典は平均約74万円で、持ち出しは約100万円となる。

 銀行は預金者の死亡を確認すると、口座を凍結してしまう。遺族はお金をおろせないため、葬儀代などを立て替えることが多い。遺産分割協議後、相続財産から葬儀代を受け取ろうとしても、全相続人が合意しないと難しい。だれかが反対すれば、立て替えた人の自腹になる。

 これを避ける方法の一つが生命保険の活用。死亡保険金の受取人を配偶者か子にして、それを葬儀費用に充ててもらう。

 ただ、保険金は相続財産ではなく、受取人固有の財産になる。葬儀費用に充てることを家族間で合意していないとトラブルも生むが、遺言書にその旨を記しておく方法をとるか、「保険証券などに、『保険金は葬儀費用に使ってもらうために加入した』などと一筆書いておくことが大切です」(明石さん)。

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