その番組のキャスターをやっていた正義感の強いKさんも名指しで抗議を受けていた。Kさんはその後、NHKを辞めた。なんで辞めたかは聞いてない。そのことが理由じゃないのかも。でも、ほかの番組でバッタリ会ったとき、「あれは気持ち悪かった」と話しあった──。

 あ、話がちょっとそれちゃった。安倍政権と経団連は、原発は絶対に必要といい張って、コストも安いと国民に嘘をつきつづけた。けど、ほかの国は騙せなかった。原発の輸出、ベトナムからはじまり、トルコもイギリスも失敗しそうだ。

 そこでようやく、「国民が反対するものはつくれない」ってか。「討論が必要」ってか。

 反原発の識者たちは、経団連会長のこの言葉に喜んでいるが、あたしには「もう原発で儲けるのは無理。後は知らん。国と国民でなんとかせぇ」といってるように聞こえちゃう。

週刊朝日  2019年1月25日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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