室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏はエネルギー政策について、経団連と安倍政権の間に意見の食い違いが生じたのではないかと持論を展開する。

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 あけましておめでとう。前の号で新年の挨拶をしたけど、年明けの原稿はこれがホントの一発目。

 我が家は息子が受験生なので、年末も正月も、テレビをつけず。

 だから、安倍首相をしばらく見なくてすんだ。彼のことも考えずにいた。

 4日、年頭会見があることは知っていたが、どうせいつものように誰かが書いた作文をそのまま読むだけだもん。あの方の演説で、彼自身が見えたことは一度もない。てか、それがあの方なんだと思ってる。世の中には、そんな彼で都合が良い人もいるわけで。

 でも、これはどういうこと? 1月5日の東京新聞の「『原発 国民反対なら無理』経団連会長、政権と同調姿勢転換」という記事。

<経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は年初に際しての報道各社とのインタビューで、今後の原発政策について「東日本大震災から八年がたとうとしているが東日本の原発は再稼働していない。国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダー(設備納入業者)が無理につくることは民主国家ではない」と指摘。「真剣に一般公開の討論をするべきだと思う」として、国民の意見を踏まえたエネルギー政策を再構築すべきだとの見方を示した>というのだ。

 経団連と安倍政権は、福島第一原発の事故後も、原子力はこの国のベースロード電源で重要であるとした。仲間割れか?

 事故を起こすとどれだけ甚大な被害が出て、どれだけ莫大な金額がかかるかということは周知の事実になったわけだが、それでも、原発は絶対に必要、といいつづけてきたわけである。

 忘れもしない。原発事故後、NHKの番組で放射線の特集をし、あたしはそれに呼ばれた。そこで、「きちんと測って正しく怖がるべきだ」とコメントした。

 そしたら番組に、原子力ムラの人々の連名で(20人くらい)、手紙が届いた。「あんな、勉強不足の人間を番組に出すな」と。

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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