千葉県視覚障害者福祉協会の伊藤和男会長から優秀賞の表彰状を受け取る関次子さん(右)=1月5日、千葉市
千葉県視覚障害者福祉協会の伊藤和男会長から優秀賞の表彰状を受け取る関次子さん(右)=1月5日、千葉市
週刊朝日を音読して録音する千葉点字図書館音訳会のボランティア
週刊朝日を音読して録音する千葉点字図書館音訳会のボランティア
週刊朝日編集長賞に選ばれ、妻礼子さんとともに表彰式の会場を訪れた五木田信義さん(右)=1月5日、千葉市
週刊朝日編集長賞に選ばれ、妻礼子さんとともに表彰式の会場を訪れた五木田信義さん(右)=1月5日、千葉市

 目の不自由な人のため、週刊朝日を毎週欠かさず「音訳」する団体がある。社会福祉法人千葉県視覚障害者福祉協会が運営する「視覚障害者総合支援センターちば」(同県四街道市)。記事やコラムを読み上げて音声をCD化し、視覚障害者に提供している。昨秋、作文コンテスト「私と週刊朝日」を実施し、1月5日に表彰式があった。

 1971年、本誌の一部の記事をオープンリールのテープに録音したのが始まり。以後、カセットテープの時期を経て、2008年からは広告など一部を除きほぼ全文をCD1枚に収録。県内の障害者約200人に音訳CDを郵送するほか、専用のネットワークを介して全国の利用者約800人に音声データを提供している。

 製作の実務を担うのは、千葉点字図書館音訳会のボランティア約90人。毎週、10人程度が録音当番となり、1冊を分担する。本誌が火曜日に発売されると、各自が自宅などで担当ページの録音に取り組む。グラビアや漫画では、表情や背景などを口頭で説明。それぞれの録音データが同センターに集約され、翌週の月曜に完成する。1号分の音声は約10時間に及ぶ。

 作文コンテストは全文CD化10周年の記念事業。全国の利用者から応募があった。5日の表彰式では、同福祉協会の伊藤和男会長があいさつし、優秀賞の関次子さん(69)=千葉県佐倉市在住=に表彰状を手渡した。

 関さんは緑内障の手術がうまくいかず、左目を失明。右目も明暗がわかる程度だ。作文に「嘆いていても始まらない。諦めなければならないものは諦め、笑顔で生き直す」などと書いた。受賞後、「あと1枚原稿用紙があれば、週刊朝日のライターさんや音訳のみなさんへのお礼を書きたかった」と話した。

 週刊朝日編集長賞を受賞した五木田信義さん(75)=同県東金市=は網膜色素変性で視力を失い、56歳のときに勤め先の金融機関を退職。今は鍼灸マッサージ治療院を営んでいる。「週刊朝日の音声が社会の動きを知るかけがえのない情報媒体。記事の内容を話題にしながら施術しています」と笑顔で語った。

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週刊朝日を“全文音訳”して視覚障害者へ提供! ボランティア奮闘40余年