上り調子の錦織。ケガから完全復活し、勝負の年になるか(C)朝日新聞社
上り調子の錦織。ケガから完全復活し、勝負の年になるか(C)朝日新聞社

 今年は勝負の年になる――。今季開幕戦となるブリスベン国際で優勝を果たした錦織圭(29)に、世界から注目が集まっている。休む間もなく、14日には4大大会の一つ、全豪オープンが開幕した。大会3連覇を狙うロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、4大大会3連勝がかかるノバク・ジョコビッチ(セルビア)らが出場し、錦織とも対戦が期待されている。

「トップにはジョコビッチ、ナダル、フェデラーの3人がいますが、ここを破っていかないとグランドスラム(4大大会)優勝は難しくなってくる。錦織選手の本当の戦いは、ベスト8とかから始まっていくのかな、と思います」

 と話すのは元テニスプレーヤーの杉山愛さんだ。

「全豪は暑さも敵になります。5セット7試合を勝ち抜くためには、体力が落ちてきた時に気力で踏ん張るなど、精神面と肉体面の両方で自分を鼓舞してプレーの質を引き上げていくことが必要です」(杉山さん)

錦織が右手首のケガのため、ツアーから長期離脱したのは2017年8月。世界ランキングのトップ10から陥落し、半年間の休養中や昨年1月の復帰直後は、「イップス」「スランプ」などと報じられてきた。しかし、昨季はATPツアーで3度の決勝を経験し、9月に全米オープンで4強入りすると、11月に年間成績上位8人によるATPツアー・ファイナルに出場。世界ランキング9位と再びトップ10プレーヤーに返り咲いた。

 錦織は果たしてケガから完全復調したのか、さらには常々課題といわれていたメンタルのコントロールも気になるところ。だが、杉山さんは「(ケガの影響は)全く感じられなかったです。精神的な部分では、今が一番充実してるんじゃないかな、と思います」と太鼓判を押す。

  年明けのブリスベン国際は、2年前に惜しくも決勝で敗れた大会で、2016年2月のメンフィス・オープン以来、約3年ぶりの優勝だ。

「本当に充実した内容だったと思います。しっかりとラケットが振れて、ボールの伸びも良かった。昨年はフォアハンドのリズムが悪くなってしまう時がありましたが、今回はフィーリングが相当いい中でプレーできたんじゃないかな、と感じました」(同)

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勝利を引き寄せたのは精神力の成長