こうした外国人パワーは昨年の百貨店の売上高を見てもはっきりしている。日本百貨店協会が昨年12月21日に発表した11月の売上高は、店舗数調整後で前年比0.6%減の5304億円で、2カ月ぶりのマイナスだった。平年より暖かい日が多く冬物衣料が売れにくかったことに加え、株安や景気の先行き懸念で個人の消費意欲が落ち込んでいることがある。

 一方で、訪日外国人向けの売り上げは順調に伸びている。11月は277億円と24カ月連続で前年比プラスとなり、1~11月累計で初めて3千億円を超え過去最高を更新した。

 家電量販店でも外国人の「爆買い」は続いている。デジタルカメラやタブレット、高級腕時計などが全体的によく売れた。お得なセットを手に入れようと、12月31日から徹夜で並ぶ光景が各地で見られた。先着順で販売する一部の家電量販店では、「一般の人が福袋を買いにくい」といった苦情もあった。転売を狙って買っている人もいるとみられ、店側も対策に力を入れている。

 ビックカメラでは、人気の高い商品は抽選販売にしている。

「全員に当選のチャンスがあり、早く並んだからといって有利になるわけではありません。今年も大きな混乱はありませんでした」(広報担当者)

 初売りや福袋はネットを通じて外国人にも浸透。何度も来日する人も増えていて、行列への並び方といったマナーも徐々に向上している。店側も外国語で案内するなど配慮している。

「かつては列に割り込むなどルールを守らない人もいましたが、いまでは整然と並ぶ外国人がほとんどです。福袋についても人気のものは予約制や抽選なので、外国人のせいで買えないということは考えにくい」(大手百貨店担当者)

 足元では景気の不透明感が増している。

 4日は新年最初の株式取引となる「大発会」があったが、東京株式市場はほぼ全面安の展開。日経平均株価の終値は前年末の終値より452円81銭(2.26%)安い1万9561円96銭となった。大発会の終値が前年末の終値より下落したのは3年ぶりで、警戒感が強まっている。

 景気が悪化すれば、低迷している個人消費がさらに落ち込むのは確実。初売りが象徴しているように、消費では「外国人頼み」の状況が続きそうだ。(本誌・多田敏男)

※週刊朝日オンライン限定記事