一方、こうしたディープフェイクへの対策もすでに始まっている。

 技術には技術で対抗とばかりに、政府機関や大学、新興企業などが見抜くためのAIの開発を進めている。さらに、メディアもディープフェイクへの警戒を強め、米ウォールストリート・ジャーナルでも、ジャーナリスト向けのトレーニングを実施しているという。見抜くためにテクノロジーを使いこなすことだけでなく、映像の出所や情報源への取材、元となった映像の調査など、伝統的な報道手法の重要性も強調されている。ジャーナリストがだまされないようにする狙いもあるが、メディアへの信頼が失われつつあるなか、ディープフェイクを悪用したジャーナリスト個人への攻撃に危機感を抱いているという。

 フェイクニュースにまつわる19年の最重要単語はディープフェイクになるかもしれない。

週刊朝日  2019年1月4日号-11日合併号

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津田大介

津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

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