「日本で飼われているイエネコのルーツは、エジプトなどの中東に生息する『リビアヤマネコ』という、黒と茶のしま柄の遺伝子をもつ野生のであることがわかっています」

 リビアヤマネコは、約5千年前の古代エジプトからネズミや毒蛇を退治するために飼われていた。食べ残しをあさったりするが、人になつきやすい性格で人間との相性が良かったそうだ。

 砂漠地帯に紛れやすい毛柄で、獲物を仕留めるハンターのリビアヤマネコに最も近い毛柄を受け継いでいるのが、キジトラだ。キジトラ(白)が「好奇心旺盛」で「活発」なのは、ハンター気質が残っているからかも。

 そんなキジトラ(白)には、猫じゃらしで遊ぶ時間をたっぷりとってあげよう。野性的な性格なので、気持ちに余裕を持って接することができる飼い主がベストだ。

(3)ミケのほとんどがメス、捉えどころのない性格とは

「ミケはあまり特徴がなく、捉えどころのない性格と言えるでしょう」

 確かに、ミケの性格は、「甘えん坊」「賢い」が3.1と高く、他は平均的だ。黒、白、茶色の3色を発現させるミケ柄は、遺伝子的にトラ柄よりも発生する確率が低い。また、黒色にしま柄が入ることもある。一口にミケといっても、個体ごとに毛柄の出方が違うので、捉えどころのない性格に映るのかもしれない。

 それに、ミケにメスが多いのは周知の事実。性格の傾向にも「メスらしさ」が入っている可能性がある。子どもを産んで育てるための賢さと、エサをもらうための人なつっこさを兼ねそなえているのかもしれない。

 大石さんのミケは、気が強いらしく、一緒に暮らす犬に突然「猫パンチ」を食らわすとか。大石さんには甘えてくるが、気分に起伏があるようだ。そんなお嬢様タイプに転がされたい人にミケはぴったり。

 ちなみに、ミケにオスは3万分の1匹の確率でしか生まれない。珍しいオスは、高値で取引されることもある。

「茶(オレンジ)色の遺伝子は、性染色体X上にあります。その茶色ともうひとつの黒色(またはキジ斑)が出てくるには、Xが二つ必要になります。つまり、XXのメスのときです。オスの場合は、染色体異常のときだけなのです」

(4)サビは気難しい? お嬢様気質なだけ

 ミケと同じように茶色と黒色(またはキジ斑)の2色のサビもほとんどがメス。ミケの性格に似ているところもあるが、「警戒心が強い」「気が強い」「わがまま」「臆病」の点数が高い。しかも、「従順」「社交的」は低いので、ミケよりも“お嬢様気質”といえるだろう。気難しさを受け入れ、ペットと適度な距離感を保って生活できる飼い主がよさそうだ。

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