大石孝雄さん(元東京農業大学教授)と愛猫サバトラ。これまでに8匹の猫を飼っていた愛猫家 (写真=大石孝雄さん提供)
大石孝雄さん(元東京農業大学教授)と愛猫サバトラ。これまでに8匹の猫を飼っていた愛猫家 (写真=大石孝雄さん提供)
猫の毛柄と性格 調査結果 (週刊朝日 2018年12月28日号より)
猫の毛柄と性格 調査結果 (週刊朝日 2018年12月28日号より)
首都圏6地域の猫の毛柄別出現頻度 (週刊朝日 2018年12月28日号より)
首都圏6地域の猫の毛柄別出現頻度 (週刊朝日 2018年12月28日号より)

 柄で飼いの性格を診断──。毛柄は色素を形成する遺伝子の働きで決まる。それは行動に影響する遺伝子と関係性があるのだとか。人間の星占いや血液型占いよりは当たるかも!?

【毛柄でわかる“猫の性格判断” 調査結果はこちら】

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 茶トラは食い意地が張っている。ミケはツンデレのお嬢様。ブチは好奇心旺盛……。猫といえども性格はさまざま。猫を複数飼った経験のある人なら、毛柄によって性格が違うと感じたことがあるのではないだろうか。

「なぜその柄でその性格なのか、というところまでは明らかにされておりませんが、色素形成の遺伝子と行動に関わる遺伝子に関係性はあると推察される研究は海外でもあります」

 と話すのは、元東京農業大学教授で、『トラねこのトリセツ』(東京書籍)などの監修をした大石孝雄さん(伴侶動物学・動物遺伝学)だ。そもそもなぜ猫にこれほど毛柄があるかというと、遺伝子の突然変異のほか、人間が特定の毛柄を好んで繁殖させようとした人為的な背景もあるという。もちろん、性格には個体差があり、生育環境や人間との関係性によっても違いは表れる。

 大石さんの指導のもと、東京農業大学の学生が猫の毛柄と性格の関係を調査。学生は飼い主にアンケートを実施し、244匹のイエネコを5段階で評価した。やはり毛柄によって性格の傾向はありそうだ。調査対象は、日本に昔からいるトラやミケなどの雑種だ。

「茶トラの『おとなしい』『おっとり』が3.6で、『攻撃的』が1.4、『食いしん坊』が3.0とありますが、私の飼っている茶トラもまさにそのとおり」

 猫3匹(茶トラ・ミケ・サバトラ)と犬2匹を飼っている大石さん。調査結果と自身の愛猫を比べてみると、当てはまっているそうだ。

 この調査結果をもとに、大石さんに猫の毛柄による性格と、飼い主へのアドバイスを聞いてみた。

(1)甘え上手な茶トラ、エサのあげすぎに注意

「猫は犬に比べて、人間にこびてこないので、難しい性格と思われます。だけど、猫の中でも茶トラは、穏やかで甘え上手です。猫のことをよく知らない人にも自然になついてくるので、初めて猫を飼う人に合うと思います」

 ただ食いしん坊という傾向もある。茶トラの甘えに根負けしてエサを与えすぎないように注意したい。飼い猫の健康状態を管理できるしっかり者の飼い主がよさそうだ。

(2)ハンター気質なキジトラ遊ぶ時間をたっぷりと

 猫の代表的な毛柄といえば、しま模様をしたトラ柄。配色で分けると、茶トラや茶トラ白、キジトラ、キジトラ白、サバトラがいる。首都圏に出現する猫のなかでも約5割を占める。

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