「練馬区の場合、そもそも指定管理者制度の導入は既定路線でいくと発表されており、制度の改善が全くされていないところが問題」(永利氏)

 交渉期限が迫る中、図書館専門員たちは、自らの「席」を求め、ストライキの通告に至ったという。

 通告のチラシには、『区は、2館の指定管理化を強行し、現在57名いる図書館専門員の数を半減させても、これまで通りの適切な管理運営は可能であると回答した』と記載しており、『30年にわたり練馬区の図書館を支えてきた。使い捨てにされたくない』という声が上がる。なぜこうした対立が起きるのか。

「図書館の問題にとどまらないですが、非常勤職員、非正規職員の雇用や活用のあり方を考える上で、練馬区は安易な考えだけで決めてしまった。『指定管理者制度をやる方針が決まった以上は専門員には、出ていただくしかない』という簡単に異動や雇い止めすることができる体制。しかし図書館専門員の方は数十年に渡って働いていて、実質的には正規職員より図書館に貢献している。それなのに、駒のように動かされてたまるかという気持ちが強いでしょう」

 組合側は11月、議会に対し、導入撤回を求める陳情書と約8400筆の署名を提出、さらに区民にも理解を求め、現在1万6400筆を超えているが、議会では論議もされていないという。

「雇用という点では、幅広い会派が関心をもって動いているが、議会の空気は流動化しているわけではない。図書館の指定管理者制度は東京都の特別区23区のうち、8区は導入していない。指定管理者制度が図書館になじむかという根っこの議論がくすぶっている状態です」(前出の池尻議員)

 TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に市の図書館運営を全国で初めて委託し注目を浴びた武雄市図書館だが、「選書がずさん」「市民に一切説明がないまま図書館の名を借りたTSUTAYAを造ることは間違っている」などという声もあがっていた。

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