ヴィッセル神戸の入団会見でユニホームを持つビジャ選手(右)と楽天の三木谷浩史会長 (c)朝日新聞社
ヴィッセル神戸の入団会見でユニホームを持つビジャ選手(右)と楽天の三木谷浩史会長 (c)朝日新聞社

 サッカー・ヴィッセル神戸(V神戸)がまたもや”爆買い”で世界から注目を浴びた。12月1日、今シーズンの最終戦となったベガルタ仙台戦後、元スペイン代表で、ワールドカップ南アフリカ大会得点王のダビド・ビジャ(37)の獲得を発表した。ビジャは2年契約で年俸3億円とされる。

 ビジャとともに会見に出席した、V神戸の親会社である楽天の三木谷浩史社長は「監督と相談して(チーム)スタイルに合うストライカーということでビジャの名前が挙がった。強いだけでなく、お客さんを魅了していくサッカーを追求していきたい」と期待の言葉を込めた。

 V神戸は昨年7月に獲得した元ドイツ代表ルーカス・ポドルスキー(33)は年俸6億円、今年7月に加入の元スペイン代表アンドレス・イニエスタ(34)に至っては年俸が32億円を超えるといわれる。ワールドカップ優勝経験者であり実力者たちを、大金で次々と契約する背景には、V神戸のチーム強化だけでなく、楽天のビジネス面での思惑が見え隠れする。

 スペインの名門レアル・マドリードで働いた経験を持つスポーツコンサルタントの酒井浩之さんはこう見る。

「ビジャの獲得というのはあくまで楽天というブランドの宣伝でしょう。地球の反対側から見れば、ヴィッセル神戸なんて誰も知らないし、当然、楽天と言われても、(中国企業であり世界的なEC大手の)アリババの日本版と見られてしまう。世界的な人気のあるフットボール(サッカー)の力を利用するのが鉄板です。もちろんビジャの得点力を見込んでいると思いますが」

 三木谷社長はこれまで、楽天を世界一のインターネット企業にすることを標榜してきた。しかし、海外事業は決して順調とはいえない。ヨーロッパでは当初よりビジネスの規模を縮小している。アジアでもうまくいかずに撤退に追い込まれた。米国やブラジルなどでビジネスを継続しているが、決算情報で海外事業に関する細かい数字は公表していない。そこで楽天が海外で反転攻勢をかけるために、スポーツ、そしてサッカーに投資するのだ。

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三木谷会長の狙いは米国市場?