高齢者の運転を巡っては免許返納が議論になるが、限りある運転人生を全うしたいと考える人も多いだろう。最後の一台を選ぶポイントは何だろうか。

「乗り降りしやすさ、運転しやすさは必要だと思います。あとは価格。そして、最後だからこそ、最新車種を知ってみるのもいいですよ」(同)

 では、下の世代となる35~45歳はどうだろう。前出の国沢さんは「“クルマ嫌い教育”を受けた世代」とユニークな見方をする。

「学校の授業で車の排ガスが公害につながったことを学び、かつ交通事故がすごく多い時代だった」と、国沢さん。政府の統計資料で交通事故の発生状況を確認すると、この年代が小学生~高校生だった20~35年前は、ほぼ毎年のように発生件数が増加している。

「包丁のように生活に必要な道具だけど、そこに趣味や付加価値は求めない。都市部の人はレンタカーやカーシェアでいいと考え、所有率が低いんです」(国沢さん)

 これは、彼らが団塊の世代を親に持つ団塊ジュニアであることが大きく関わっているようだ。

「(親である)団塊の世代はベビーブームのため、子どものころから競争社会にいた。自分たちが大人になると『わが子には同じ思いをさせたくない』と考え、子どもをとてもかわいがりました。だから子どもは活性がない。車が必要な地方でも、コストの低い軽自動車を長く乗り続ける人が多かったりします」(同)

 その下の世代となる25~35歳の若年層は、膨大な選択肢の中から、用途を考えたり、先輩や家族など周りに相談したりしながら、車を選ぶ。

「友達の車に乗ってみたり、レンタカーを使ってみたりして、マイカーが欲しいな、と思う人もいるでしょう。上の年代に比べてニュートラルで、購入車種にあまり偏りがない。メーカーもマーケットとして大事にしています」(同)

 マイカーとして最初の一台となることも多く、購入車種の一つにコンパクトカーが挙げられる。軽自動車よりは大きいが、小回りが利くので、運転初心者でも街中で運転しやすい。低燃費で室内空間が広く、結婚後に家族が増えても実用的だ。各社のラインアップも豊富で、「アクア」(トヨタ)、「フィット」(ホンダ)などがある。若さゆえのこだわりか、「かっこわるい」「物足りない」といった理由から、軽自動車は敬遠する傾向があるようだ。

 一台買えば愛着がわいて10年付き合う“相棒”になるだろうか。みなさんはどんな車を選びますか。(本誌・緒方麦)

週刊朝日  2018年11月30日号