そしてお昼寝の時間になり、先生と面談になる。いつも家で見ている息子笑福と違ったので、妻は驚いていたが、先生は「笑福君は本心をまだ見せてくれなくて、それは私たちのせいです」と言う。そんなこと言われて「いやいやいや」と言う僕と妻。

 この日一日見させてもらって、保育士さんの仕事がどれだけ大変かを改めて気づけた。「緊張感」。ちょっと目を離したすきに何をするかわからないのが子供だ。数秒見てないだけで事故につながることもある。その中で子供たちには笑顔を見せて、遊び、教育する。ビルの建設現場で働く人は危険と隣り合わせなので、かなりの「緊張感」を持って仕事をしていると思うが、保育士さんもそれ並み、いやそれ以上に「緊張感」を持って臨まなければいけない仕事なのだ。メンタルと体力がすり減る。

 保育士不足の中、今後、どんな打開策を出していくのかわからないが、僕らができることは、日々、保育士さんに心のこもった挨拶と、感謝と、一言。保育士さんが面倒見てくれているのは当たり前じゃないんだと思うことが大事。それを強く思っていることがとても大切。保育士さん。本当にありがとうございます。

週刊朝日  2018年11月23日号

著者プロフィールを見る
鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

鈴木おさむの記事一覧はこちら