毎年11月ごろから患者が増え始め、10人に1人の割合で1千万人以上がかかると言われるインフルエンザ。流行シーズンは12月から3月だが、その到来を前に、インフルエンザの感染を防ぐ機能性のど飴が相次いで発売された。

【関連画像】風邪予防には市販のジュースで出来るこんなレシピもオススメ!

 のど飴でインフルエンザの感染を防げるのか?と疑問に思う人も多いだろう。感染を防げる理由は、感染のメカニズムにある。インフルエンザ予防の研究をする医師で、静岡県立大学薬学部の山田浩教授は、次のように解説する。

「インフルエンザウイルスは口や鼻から侵入し、鼻からのどに続く上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)の粘膜細胞の表面に吸着します。吸着後、ウイルスは粘膜細胞内に侵入して増殖し、さらに、細胞外にウイルスを放出して新たな感染細胞を生み出します。ウイルスの吸着、増殖、放出のほとんどが上気道で起きるのです」

 インフルエンザにかかると、38度以上の急な高熱が出て、関節痛や倦怠感などの強い全身症状に襲われる。ただ、そうした症状はウイルスが全身に広がって起きるわけではない。

「ウイルスに感染した細胞が自己防御のために出すサイトカインという物質が、全身をめぐることで起きています」(山田教授)

 したがって、ウイルスの侵入経路の一つである口の中や感染範囲の一つであるのどを守ることが大事。機能性のど飴をなめて有効成分をとどまらせておけば、予防できるというわけだ。これまでの研究で、複数の有効成分がわかっている。

 養命酒製造(東京都渋谷区)が10月に発売した「養命酒製造のど飴」には、クロモジ(漢方の生薬で使われるウショウ)のエキスが入っている。

 同社は愛媛大学医学部付属病院抗加齢・予防医療センターと共同研究を実施。クロモジエキスに含まれるプロアントシアニジンというポリフェノール成分に、インフルエンザウイルスの増殖を阻害し、不活性化する効果があるのを突き止めた。昨冬、同病院の看護師を対象に実験したところ、クロモジエキスを配合した飴を1日3回、12週間にわたって毎日摂取したグループのほうが、摂取しなかったグループよりもインフルエンザの感染者数が有意に少なかったという。

次のページ