林:そうはいっても、ナナちゃんの機嫌が直るまで俳優さんたちはみんな待ってなきゃいけないときもあったでしょう?

福士:そうですね。それはあります。

林:イラついたりしませんでした?

福士:それが、ぜんぜんでした。周りのスタッフさんは時間を気にしていたのかもしれませんが、自分はただ一緒にお芝居をするというだけだったので、平気でした。

林:今まで恋愛映画やドラマが多かったけど、ちゃん相手に愛情を伝えるってすごく難しそうですよね。

福士:でも自分は猫相手のほうが楽だったんです。昔から動物がすごく好きだからか、猫に対する愛情の表し方は、自分でもすごく自然にできました。

林:へーえ、そうなんだ。家に連れて帰ったりもしたんですか。

福士:いえ、そこまでは。でも、待ち時間は一緒にいました。

林:そうやってだんだんなれてきたんですね。福士さんの手とか顔をなめるシーンなんて、ほんとに好きじゃないとしませんよ。

福士:自然にすり寄ってきてくれました。

林:猫って、犬みたいに「おいで」って言うと来てペロペロなめたりしないじゃないですか。抱き上げると「フン」って感じでしょ。あれがたまらなく好きという人もいますけど、福士さんはワンちゃん派ですか。

福士:自分は犬を飼っていたので、犬しか知らなかったんですが、こんなに長く猫と一緒にいるのは初めてで、猫の可愛さと犬の可愛さというのはまた違うんだなと思いました。

林:うちは20年飼ってた猫がいたんです。スコティッシュフォールドという猫で、ユーミンが飼ってる猫のいとこだったの。

福士:そうなんですか。

林:自慢の猫だったんですけど、もうだいぶ前に亡くなってしまって。この映画を見たらまた猫を飼いたくなっちゃいましたよ。だいたい、物書きって猫が好きなんです。うちでじっと座って書いてるから。もうちょっとアクティブな仕事をする人は、犬好きだと思う。

福士:ああ、なるほど。そうかもしれないですね。

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