「七夕の短冊を書くように、漢字2字の元号に未来への願いが込められているように感じます」
こちらのベスト3は「安久」「安始」「安永」だ。
ん? 「安」の字が多いのは、人々の意識に長期化する安倍政権の影響もあるのだろうか。永田町ではこんな話もささやかれる。
「安倍さんと昭恵夫人の文字を取って『安昭』になるのでは、と噂が立っています」(議員秘書)。もっとも元号選定は有識者会議で議論されるわけで、これはあくまでもネタか。『「元号」と戦後日本』の著者で社会学者の鈴木洋仁氏がこう指摘する。
「元号のカジュアル化とも言うべき現象ですが、昭和が終わるときには次の元号について口にしてはいけないという重々しい雰囲気があった。それに比べれば、元号について議論が高まるのはいいことです。元号予想で『和』や『安』が多いのは、昭和ノスタルジーを感じさせます。戦争や公害など暗い部分は塗り潰されて、高度経済成長や一億総中流といった明るい部分をクローズアップして、昭和をもう一度やり直したいという意識も読み取れます」
希望に満ちた言葉は、現在の世相と表裏をなす。(本誌・亀井洋志)
※週刊朝日 2018年10月12日号