いびきや歯ぎしりがある人は、マウスピースをつくることもできる</p>

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いびきや歯ぎしりがある人は、マウスピースをつくることもできる
いびき以外に2つ当てはまればSASかも! (週刊朝日2018年9月28日号から)
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いびき以外に2つ当てはまればSASかも! (週刊朝日2018年9月28日号から)
いびき体操(週刊朝日2018年9月28日号から)
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いびき体操(週刊朝日2018年9月28日号から)

 就寝時、気づかぬ間にあなたも歯ぎしりをしているかもしれない。

【あなたは大丈夫?睡眠時無呼吸症候群(SAS)のチェックリストはこちら】

「ギリギリ」「ガクガク」と、口から発せられているとは思えないほど、耳障りな音が響くことも。はたから寝ている人を見ていると、どれだけ強く食いしばっているのかと心配になる。起きているときの最大8倍くらいの力がかかるという。

 東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックの新谷悟院長によると、歯ぎしりが原因で、歯が真っ二つに砕けた60代の女性もいたという。ほかにも強い力がかかり、歯根にひびが入ったり割れたりして、歯を抜かざるを得なくなることもある。

 歯ぎしりの原因はいろいろ考えられるが、日中の癖も関係するという。

「普段から歯と歯を接触させる癖がある人に、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりをする人が多いとされます。歯と歯が接触することで、歯根膜から脳にシグナルが送られ、それがストレスになっています。そうすると、夜中に脳からの指令で、歯ぎしりや食いしばりを起こすようです」(新谷院長)

 歯ぎしりですぐに死ぬことはないが、歯がすり減ることは避けられない。知覚過敏になって、食べたり飲んだりしたときに、歯がしみやすくなる。80歳で20本以上の歯を残そうという「8020運動」が推進されているように、健康で長生きするカギは歯だ。大切にしないと寿命も縮まる。

 歯のかみ合わせに悪影響を与えたり、あごの関節に負担がかかったりすることも。ひどい場合は顎関節症になって、口が十分に開かなくなってしまう。

 目覚めたときに首や肩がこっている人も、歯ぎしりを疑ってみよう。「頬骨と口の間を走る咬筋(こうきん)を手で優しくマッサージすると緩和します」(同)

 すぐに死ぬことはないとはいうものの、心臓病など命に関わる合併症のリスクが高まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)が潜んでいることも考えられる。

「SASでは、いびきと歯ぎしりの両方をする人がいます。歯ぎしりも一つのサインになるのです」(同)

 対策としてはかみ合わせの調整に加え、マウスピースをつけて寝る方法がある。保険が適用されれば5千円程度でつくれるので、歯科医に相談してみよう。

 歯ぎしりは、仕事や家庭、人間関係などで悩みがあり、精神的に緊張していると起きやすいとされる。過度な飲酒といった生活習慣の乱れが、睡眠の質を下げ、症状を悪化させることも知られている。

 口から出る大きな音は、体だけでなく心のSOSと受け止めよう。生活を見直し、ストレスをうまく発散することで、改善していきたい。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2018年9月28日号