■女同士編


 白髪をカミングアウトし、最近堂々パリのマダムのようなスタイルが定着してきた、近藤サトさん。

「女性同士で雑談するときは、私、天気の話から入るのはNGだと思うんですよ」

 え~っ、無難じゃないですか、天気の話。

「う~ん、よほどその話題がタイムリーなときは出してもいい話ですが、女同士で話をするときに冒頭で語り合う話ではないですよね。ほかにもっと話題はあるよね? ホントに私とコミュニケーションする気がありますか?と誤解される場合がなくもないでしょう」

 あ、それは確かに。非常にプライベートな話を相手に聞いたりするのもNGだが、かといって天気の話をボンッと押し込んでくるのも確かに失礼だ。

「そして雑談中にむやみやたらに相手を褒めるというのも、私はやめたほうがいいと思います。リスペクトはいいと思うんですよ。私はあなたのこういうところが素敵だと思うから、まねしたいな、教えてほしいなという方向に持っていくのであれば、話題も膨らみますよね。でも一方的な“褒め”は、言われた相手も困ってしまうと思うんです。会話の中でわざわざ相手と自分を差別化しなくてもいいかな、と」

 そう、そんなところで変な距離感ができてしまうと付き合いもしづらくなる。深いな、サトさん。

「いや、まだあるんです」

 まだ、掘るか!

「いわゆる“鉄板ネタ”というのを雑談用に準備するというのも、それは時と場合によるかなと思っていて」

 ダメですか、鉄板ネタ。流行の食べ物とか、健康関連の話とか一般的にスベらないと言われているネタの用意をするのは。

「いえ、決してダメではないのですが、ただ“用意してきました感”満載でこられると、逆にそこに口をはさみづらいということもあるじゃないですか。会話ってやはり、その場でフレッシュなネタを拾う癖もつけておいたほうがいい気がします」

 同じ場所で同じ時間を過ごしているならば、たとえば窓から見える風景についてであるとか、たとえばその空間にある絵画に絡めて会話を交わすとか。そこで共感できる何かがあったほうが、時間の濃密さも違うからだ。

「フレッシュな雑談を楽しむためには、やはり普段から幅広いジャンルに目を向けておくことです。そして自分の知識として蓄えておくこと。そのためにはもっと新聞や雑誌を活用したほうがいいのではないでしょうか。新聞や雑誌には広告が載っていたり、本来自分自身が興味を持っていない話も載っていて、それがどんどん目に飛び込んでくるでしょう。そういうものを毎日チェックするだけでも、自分の中にたまる知識や情報量は違ってきます。雑談にも勉強は必要なんですよ」

(赤根千鶴子)

週刊朝日  2018年9月28日号