そして当たり前のことのようだが「できるだけ昼間、受診すること」。消化器が専門の帝京大学医学部附属病院IBD(炎症性腸疾患)センター長の橋口陽二郞さんが言う。

「よくあるのは、昼間に痛みをガマンして夜になってガマンできず受診するパターンです。夜間は当直医がいますが、医療機関によっては、その病気について専門ではないこともあり、検査を受け持つ技師がいないこともある。万全な態勢で治療を受けられません。一方、昼間に受診すればベテランの医師もいて、必要な検査も受けられます」

 今回は、痛みについてみてきたが、こうした身体のSOSを感じにくい人もいる。千葉徳洲会病院[千葉県船橋市]副院長の鶴田好彦さんによると、「糖尿病患者や、病気の治療で免疫抑制薬のステロイド薬を使っている人、高齢者など」だという。

「とくに糖尿病の患者さんでは、狭心症や心筋梗塞の症状をはっきり訴えないため、心停止という状態で、家族の通報で発見されることもあります。こうした自覚症状に乏しい人はそういうリスクがあることを知っておくとともに、食欲不振やだるさなど、痛み以外の症状に気付くよう、周りがサポートすることが大切です」(鶴田さん)

「痛み」がある場合、医師にこれだけは伝えよう
■いつから痛むのか、急に痛み出したのか(時期)
■どこが痛むのか(場所)
■ずっと同じ場所が痛いか、移動しているか
■痛み方(ピリピリ、うずく、刺す、チクチクするなど)
■持続的に痛むか、周期的に痛むか
■痛みは強まっているか
■痛み以外に症状があるか(汗、吐き気など)
■動作や食事など、きっかけに心当たりはあるか
■常備薬(※お薬手帳があれば持っていく)
■持病があるか

(本誌・山内リカ)

※週刊朝日2018年9月21日号

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