撮影/鎌田倫子
撮影/鎌田倫子
医師にこれだけは伝えよう(週刊朝日2018年9月21日号より)
医師にこれだけは伝えよう(週刊朝日2018年9月21日号より)

“痛み”は身体が発するSOS。だが、必ずしも病気になった臓器の周辺が痛むとは限らない。たとえば、心臓の病気で肩に症状が出るなど、思いも寄らない場所が痛むことがある。こうした痛みは「関連痛」「放散痛」と呼ばれるが、病気になった臓器の周辺ではなく、別の場所だけに生じる痛みと、そうでない痛みを見分けるにはどうすればいいのか。素人には難しい面もあるが、正しい診断につながるためのポイントは押さえておきたい。

【チェック】医師にはこれだけは伝えよう

 まずは「随伴症状」がないか。総合診療医で、アメリカの家庭医療の専門医資格も持つ生坂政臣さん(千葉大学医学部附属病院総合診療科科長)によると、内臓痛では、冷や汗が出る、気持ち悪くなるなど、自律神経症状も一緒に出ることが多い。“どことなく痛くて、自律神経症状が出ているとき”は、重篤な病気によるキケンな痛みの可能性が高いという。

 医療機関を受診する際にもこんなコツがある。最も望ましいのはかかりつけ医をつくっておくこと。そうすればどんな場所の痛みでも診てくれるからだ。地域のかかりつけ医として在宅医療などを行う、鈴木内科医院(東京都大田区)の鈴木央さんは言う。

「痛みの診断は、医師の問診と診察だけでは十分ではなく、患者さんの具体的な訴えがあってこそ、診断の精度は高まるもの。患者さんと医師との二人三脚での作業が大切なのです」

 どんな伝え方が望ましいのかは、表にした。痛み出した時期や場所だけでなく、痛み方の特徴やパターンなども伝えておこう。さらに、伝えるタイミングも重要だ。

「診察が終わって、帰る間際になって『実は、ここが痛いときがある』とおっしゃられる患者さんがたまにいます。それで診断がやり直しになることもあるので、痛みはできるだけ最初に、具体的に伝えてもらえると助かります」(鈴木さん)

 頭痛や肩痛など慢性的な痛みがある人は、“いつもと違う痛み”があったら必ず伝えること。新たな病気の出現で痛みが生じている可能性があるからだ。

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