とはいえ10代から20代半ばまでは、壁にぶち当たることも多く、思いどおりに演じられずに悔し涙を流したこともあったという。

「そういう時期も必要だとは思ってましたけどね(苦笑)。いろいろ自分のアイデアを試せるようになったのは、25ぐらいからかな。30の少し手前で本格的に落語を習い始めて、芝居がもっとうまくなるための手段を探していたら、30になったら肩の力が抜けた。今は適度にイイ感じです。だからこうやって憧れていた『劇団☆新感線』からお声がかかったのかな、なんて(笑)」

 客席が360度回転するIHIステージアラウンド東京。昨年から1年3カ月にわたってロングラン上演された劇団☆新感線『髑髏城の七人』に続き、この夏からは、新感線☆RS『メタルマクベス』が上演されているが、浅利さんは、そのdisc2に出演する。

「常に、やったことのないことをしてみたい思いと同時に、いろんな劇場に出てみたい欲もあって……。劇場って、それぞれに独特の匂いがあるんですよ。『レミゼ』が自分の芝居の原点にあるせいか、帝劇の匂いを嗅ぐと、勝手に『あ、ホームだ!』って思ったりもしますし(笑)。平幹二朗さんには、ギリシャには、真ん中にコインを落とすと、その音が劇場中に響き渡る、石でできた円形劇場もあると教えてもらいました。いつか、そういう舞台にも行ってみたいし、なんなら立ってみたい(笑)」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日 2018年8月10日号