「国会通信簿」政党の中で一番仕事をしたのは？　消える党は？

松原：安倍政権を攻めるための材料はたくさんあった。2月に共産党が独自に財務省と森友学園とのやりとりを記録した音声データを入手して公開した。3月には朝日新聞が文書改ざんをスクープして、4月には財務省職員が「トラック何千台も使ってごみを撤去したと説明していいか」と学園側に持ちかけたこともわかった。野党はうまくストーリーを作れば、攻め切ることができたはずです。

御厨：野党にはストーリーを作る力はない。とにかく皆が見ているところ、カメラがあたっているところで悪を懲らしめるとなるから。

松原：佐川さんを国会に呼んだときも、罵倒して、それをテレビに撮ってもらうだけ。野党が省庁の担当者を呼んで行う合同ヒアリングにしても、罵倒を繰り返し、若手官僚に対するリンチにしか見えない。国会で汚れ役ばかりさせられるので、法学部を出て官僚になりたいという東大生が激減しています。

御厨：森友学園の籠池泰典前理事長に会いに行っても、決定的なことが聞けたことがない。

松原：昭恵夫人が悪いという話も出た。しかし、ファーストレディーが何をやっていいのか規定がないのです。野党はルール作りの話につなげられず、結論が出ないまま。今後第2、第3の昭恵が出ると思います。

御厨：カジノ法案に公明党が賛成しました。

松原：これまで公明党はずっと反対してきており、金持ち相手の商売の話をする政党ではありませんでした。しかし、今回は法案に乗った。今まで持っていた大切なものを捨てた感じが強いです。

御厨：山口那津男代表は、安倍さんのことが好きではないと思います。これまでも色々な法案で賛成ではないが押し切られ、今回のカジノ法案も本心では賛成ではないと思うが、反対できない。自民党と一緒に与党でいることで見返りがあり、党内もうまくいく。創価学会の信仰を持っている人は素朴な平和主義と素朴な生活主義を大切にしていますが、公明党は世間知を知ってしまい、自民党の第五列、党外派閥の位置づけになっている。反対したら公明党の中で首になると思います。