たとえ何百人がゲームに挑戦しても、セリフ量とカメラに抜かれる回数で、だいたいこの辺生き残るよねとわかっちゃう。それがサバイバルもの初回あるあるだ。

 その最初の試練「鉄球サークル」とは、サイコロの目を当てるゲーム。六つの円筒形の檻の上には、巨大な鉄球が吊るされている。サイコロの目がはずれれば、鉄球が落下。もし目が当たらなくても、檻の中で生存していれば合格だという。

 どの目が出るんだ? 挑戦者たちが右往左往する中、「なんかひっかかる」と、おもむろに呟く主人公・宇海。彼が導き出した結論は、サイコロの目を当てることじゃない。円筒の檻のはじに寄り、「体育座り」をして鉄球をよけるんだ!

 ちょっと待て。そもそも上から鉄球落ちてくるのに、真ん中で立って待ってる馬鹿いるー? 寄るよねー、はじっこに。小さく座るよねー、常識的に。と、思わずテレビ前で体育座り。

 とんでもない難問を、命を賭けて解いてやったぜ、フッ……。と、言わんばかりのクライマックス。思わず福本漫画で多用される心理的ざわめきを表現した擬音が、頭の後ろで鳴り響く。「このドラマ大丈夫か?」ざわ……ざわ……ざわ……。

週刊朝日  2018年8月3日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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