国語の漢字を覚えるのにもコツがある。子どもにゆっくり大きく字を書かせてみよう。小学校低学年向けの学習帳など大きな升目のノートを用意し、一つずつ大きな字で書かせる。いつもの漢字練習の4倍くらいの大きさがちょうどいい。

「苦手なところをあぶりだすためです。これをやると、この子はここで詰まっているんだ、と書き順の間違いもわかります」

 ここまでは、受験生以外の子どもの夏休みの過ごし方。受験生の場合、とにかく時間を惜しんで取り組む必要がある。

「9月1日になったら誰でも焦ります。それまでに、不安に感じている分野をつぶしておきましょう。秋まで時間はありません」

 佐藤家の場合、きょうだいに受験生がいる年は、家族全員で夏休み中はプールもかき氷もなしと決めていた。長男が小学6年生のときに「受験をみんなで応援しようよ。ママはかき氷も花火も一切しません」と宣言したという。

「かき氷は、合格したら食べればいいのです。夫は『かき氷くらいいいじゃない。かわいそう』と言いましたが、受験に落ちることが一番かわいそうだと割り切ることです」

 受験生にとって「○○くらい」は禁物。心のゆるみが不合格につながる。佐藤さんは「小学6年生の夏に息抜きはいらない」と考えている。

「未熟な子どもは、一度息を抜かせたら、ずーっと抜きっぱなしになる。受験生の持ち時間は平等です。試験までをどのように過ごすかにかかっています」

 子どもは問題を解くだけという状態まで、親が準備するのが理想だという。その日にやるべき教材の用意から、問題を解いた後のマルつけまで親がする。

「マルつけは必ず親がやってください。当事者にチェックをさせると大人でも甘くなりますよね」

 子どもが問題を解く時間を確保するため、親がやることで子の手間が省けるなら親がやる。受験生の夏は、それくらい親が徹底してサポートするべきだと佐藤さんは説く。

中学受験、高校受験で経験した厳しさは、大学受験でも生きていきます。親がバックアップできる試験は、中学受験か高校受験、そして大学受験と子どもの人生で2、3回。そのうちの1回と思えば、やりすぎということはないのです」

 長いようで短い夏休み。秋から成績を伸ばしたいならば、“佐藤ママ流”を参考に計画を立て、実践してみよう。(本誌・鎌田倫子)

週刊朝日  2018年8月3日号