外反母趾も腰痛のリスクに(桑原さん提供)
外反母趾も腰痛のリスクに(桑原さん提供)
股関節内向きひねり/(1)両膝を立てて座り、両手を体の後ろについて体を支える(2)片膝を内側に倒して1分間キープ。お尻が浮かないようにする(3)足を変え、左右同じように行う(イラストは桑原さん提供)
股関節内向きひねり/(1)両膝を立てて座り、両手を体の後ろについて体を支える(2)片膝を内側に倒して1分間キープ。お尻が浮かないようにする(3)足を変え、左右同じように行う(イラストは桑原さん提供)
股関節外向きひねり/(1)両手で足指をつかみ、背中が丸まらないように上半身を前に倒す(2)膝が浮かないよう肘でふくらはぎや太ももの内側を押して1分間キープ(イラストは桑原さん提供)
股関節外向きひねり/(1)両手で足指をつかみ、背中が丸まらないように上半身を前に倒す(2)膝が浮かないよう肘でふくらはぎや太ももの内側を押して1分間キープ(イラストは桑原さん提供)

 腰痛がなかなか治らない、すぐに再発してしまう……。そんな人は自身の足をチェックしてほしい。足にタコができていたり、外反母趾などのトラブルを抱えていたりしないだろうか。実は、足のトラブルと腰痛とは、密接な関係があるというのだ。

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「私は腰痛治療の専門家ではありませんが、扁平足や外反母趾、タコ、ウオノメなどの足のトラブルを治すと、『腰痛がよくなった』と話される患者さんがけっこういらっしゃいます」

 こう話すのは、足専門の治療施設、足のクリニック表参道(東京都港区)院長の桑原靖さんだ。

 なぜ、足の問題が腰を痛める原因になるのだろうか。

 足は、全体重を支える器官であり、ゆっくりしたペースの歩行では体重の約1.2倍、走ると約3倍の負荷がかかる。米国足病医協会の報告によると、体重55キロの人が1日7500歩歩くと、足にかかる負荷は495トンにものぼる。

 負荷がかかっても足がバランスよく体を支えられるのは、かかと、親指の付け根、小指の付け根の3点を結ぶアーチがあるためだ。だが、足の形が悪かったり、足の骨と骨とをつなぐ靱帯組織や関節構造などに問題が生じたりすると、このアーチが崩れてくる。

「アーチが崩れると、足を地面につけるとき、足は真下ではなく、内くるぶし側にねじれながら倒れていきます。これによる下からの“ねじれの力”で足首や膝、股関節もひねられますし、下半身のバランスが崩れるため、それを補おうと骨盤が前に傾きやすい。いわゆる“そり腰”の状態になり、これが腰痛を引き起こすのです」(桑原さん)

 また、“左右の足の長さが違う”ことも腰痛の原因になる。例えば、片足だけに扁平足があると、立ったときに健康な側の足首のほうが高くなる。

「こういう人が歩く際に体重をかけると、扁平足がある側の膝がグッと内側に曲がり、骨盤がゆがみやすい。これも腰痛のきっかけになります」(同)

 しかも、こうした足の問題を抱えていると、痛みや歩きにくさから、足をかばう歩き方をしてしまいがちに。その結果、ますます腰に負荷がかかり、腰痛が慢性化するという悪循環に陥りやすいという。

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