腎臓に負担をかける塩分、たんぱく質の取りすぎに注意する(※写真はイメージ)
腎臓に負担をかける塩分、たんぱく質の取りすぎに注意する(※写真はイメージ)
慢性腎臓病(CKD)データ(週刊朝日6月29日号より)
慢性腎臓病(CKD)データ(週刊朝日6月29日号より)

 進行すれば透析治療や腎移植が必要になる慢性腎臓病(CKD)。心筋梗塞や脳卒中を発症しやすいが、進行するまで症状がないサイレントキラーだ。新しい検査基準や生活指導で、早期発見と予防の成果を上げている。

【推定患者数は1330万人! 慢性腎臓病がひと目でわかるデータ集はこちら】

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 腎臓の働き(以下、腎機能)が慢性的に少しずつ低下していくCKDは、かなり進行するまで無症状だ。

「糖尿病などを放置している間に重症化して末期腎不全となり、医療機関でいきなり、『透析が必要です』と告知されて愕然とする患者さんは珍しくありません」

 と、杏林大学病院腎臓・リウマチ膠原病内科教授の要伸也医師は言う。

 腎臓は背中側の腰の少し上に左右一つずつある、握りこぶし大の臓器だ。腎臓の最も大事な働きは、毛細血管の塊である糸球体(一つの腎臓に100万個ほどある)で、血液を濾過し、不要な老廃物や塩分を排泄すること。成人では1日に約1700リットルの血液を濾過し、尿の元となる原尿を150リットル作る。浄化された血液は再び体内に戻される。

 こうした腎機能が3カ月以上にわたって低下した状態をCKDという。腎臓の働きを表す指標「糸球体濾過量(以下、GFR)」が、60ミリリットル/分/1.73平方メートル未満か、たんぱく尿が出ている場合が相当する。なお、進行度は6段階(表)に分かれており、ステージG5は透析治療や腎移植の対象になる。

 また、CKDがあると心筋梗塞や脳卒中が起こりやすいことも明らかだ。

■メタボ健診などで腎機能がわかる

 CKDの原因は糖尿病や高血圧、慢性糸球体腎炎などの腎炎、多発性嚢胞腎などだ。健康な人でも加齢とともに腎機能は少しずつ低下する。生活習慣病の増加と高齢化が相まって、今後、CKDはますます増加すると危惧されている。

「ただし、CKDの患者さんのうち半分以上は中等症のG3までに属します。この段階できちんと治療をすれば、進行を抑えられ、腎機能を維持できます。G1、G2でたんぱく尿だけが出ている場合は正常に戻ることもあります」(要医師)

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