ご飯を炊く必要さえなくお湯を注ぐだけで食べられるのが、日清食品HDの「日清カレーメシ」。同社は「カップヌードル」など麺類だけでなく、即席ライス類も販売が伸びた。以前は水を注いで電子レンジで温めたが、今はお湯を注いで5分待てば本格的なカレーを楽しめる。18年3月期の同社の売上高は、国内・海外ともに伸び、過去最高だった。

 働く女性が増える背景には、深刻な人手不足もある。企業にとっては、経営課題であると同時に、ビジネスチャンスでもある。

 カット野菜などを飲食店に販売するデリカフーズHDは、売上高が過去最高。同社は産地から仕入れた野菜を調理しやすい状態に加工し、新鮮なまま全国に届ける事業を展開する。人手不足のため、加工度の高い商品の取り扱いが伸びた。

 中華食堂「大阪王将」を展開するイートアンドは、人手不足と人件費上昇が大きな課題。そこで同社が取り組むのが、少人数で運営できる店舗「次世代大阪王将」の展開。調理機械や半調理済みの食材などで、包丁レス・仕込みレスの厨房をめざす。仲田浩康社長は「職人が鍋を振らなくても、店に入ったばかりのアルバイトでも味を落とさずに調理できる。そんな職人レスで、高品質な店づくりをめざしている」と話す。

 大阪・道頓堀にある大阪王将の本店は、外国人観光客も多く訪れるという。飲食店に限らず、訪日客向けの商品やサービスが伸びており、代表格は化粧品だ。

 コーセーは「コスメデコルテ」などが人気で、売上高が5期連続、営業利益が4期連続で過去最高に。ファンケルは売上高が前期比127億円増の1090億円。同社は増収分の3分の1程度が訪日外国人観光客(インバウンド)関連需要の効果とみる。

 航空業界では、ANAHDも3期連続で最高益を更新。国際線旅客収入は、インバウンド需要と日本発のビジネス需要がともに好調で、前期比15.6%も伸びた。国際線貨物収入も同26.5%増えた。

 日本企業らしい技術を生かした商品が、ソニーのハイブリッド型スマートウォッチ「wena wrist(ウェナリスト)」。昨年12月と今年3月に新商品を発売して好調を維持する。ウェナリストは、ヘッド部分(本体)とバンド部分に分かれる時計。バンドに電子マネー機能やスマホからのメール通知機能、活動量計などがついている。ヘッドを付け替えたり、バンドだけで使ったりもできる。

 かつてウォークマンなどのヒット商品が輩出したソニーだが、近年は際立つ品が減っていた。ウェナリストはまだ収益に大きく貢献する段階ではないが、社内の勢いを映す品といえそうだ。ゲーム、音楽、映画などの事業拡大で、18年3月期の営業利益は20年ぶりに最高を更新した。

 日本の技術力が隠れたところで生きている品が、昨年大ヒットしたハンドスピナー。指でくるくる回して遊ぶおもちゃで、ストレス解消や集中力向上などで使う人もいる。安価品から高級品まで様々あるが、回転性能を左右するのがベアリングの技術だ。

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