5月9日と14日のメモでも審査結果は「不適当」と示されていた。ところが、同23日になると、こうした否定的な文言が消え、メモには<大阪府とも連携し対応><当局において、貴学園の要望にできる限り沿うよう>対応することが記されている。宮本岳志衆院議員(共産)が指摘する。

「4月28日の面会で籠池氏から昭恵夫人に関する発言があり、対応が大きく変わる5月23日までタイムラグがあるのは、籠池発言の真偽を本省が確認していたのでしょう。不可思議なことに肝心の4月28日の面会メモだけが国会に提出されず、新たな疑惑を呼んでいます」

 前出の近畿財務局関係者もこう首をかしげる。

「あるはずの相談メモが提出されていないのは、われわれも不思議です。交渉記録もスッポリ抜けています」

 そして森友側は昭恵夫人の意向を盾に15年5月29日、国有地の定期借地契約にこぎつける。不動産鑑定評価額は9億5600万円、月々の賃料は227万円で10年後に国有地購入を前提とする特約が付けられるという異例のものだった。昭恵夫人はその約3カ月後の9月5日、「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に就任する。

 注目すべきは15年11月10日の「定期借地権の減額要望について」と題されたメモだ。昭恵夫人付政府職員の谷査恵子氏(現在は在イタリア日本大使館勤務)は、財務省国有財産業務課へ電話をかけ、「月額の賃料227万円が払えないから50%引きにしてほしい」という籠池氏の要望を受けて、問い合わせている。谷氏はこの際、籠池氏のことを<安倍総理夫人の知り合いの方>と紹介した上で、<社会福祉法人同様、優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいた>と主張したと記されている。

 2日後の12日の「応接メモ」では、田村嘉啓・国有財産審理室長(当時)が谷氏に電話をかけ、<(優遇措置は)学校施設まで対象とするものではない>と断っている。だが、谷氏は謝意を述べつつ、森友側が主張する地中のゴミ撤去や土壌汚染の処理費用を大阪航空局が「15年度中に支払うことになっていたが、16年度まで払えないと言っているが、どういうことなのか」と籠池氏の意向に沿ったクレームまで入れていたのだ。

 大串博志衆院議員(無所属)がこう指摘する。

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